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昆虫脳の3DマッピングからわかったAIとの繫がり

神経科学の発展が著しいですが、ついに小さくて大きな偉業を成し遂げました。(元論文はこちら)※タイトル画像も下記記事タイトル図より引用

ようは、
昆虫の脳を全て3Dでマップ化することに成功した、
という話です。

神経回路のつながり全体を総称して「コネクトーム」と呼ばれます。参考までに解説サイトを1つ引用します。

我々人類の脳は大体1000億以上のニューロン(神経細胞)がつながりあったネットワーク構造です。細かくは、それを補佐するグリア細胞も同数かそれ以上存在します。

今回対象となったのは、ショウジョウバエ(幼虫)です。

ニューロンの数はおよそ3000個です。人類に比べたらシンプルですが、その間をつなぐシナプスと呼ばれる接続点が約55万あり、そこから相互に電気信号(化学反応)を通じたやりとりを行っています。

過去にもっとシンプルなセンチュウ・ホヤ(幼虫)・ウミ虫(幼虫)でもコネクトームを作ったそうですが、今回の研究では興味深い発見があります。

ここで、少々細かいですがニューロンの構成パーツをみてみます。

出所;https://www.scj.go.jp/omoshiro/kioku2/index.html

上記を例にすると、シナプスは軸索→樹状突起を繋ぐ箇所を指します。

従来はこれがニューロン間を繋ぐ中心的な位置づけとかんがえられていたのですが、今回の解析の結果、そうではないことが分かりました。

軸索→軸索、樹状突起→樹状突起、のルートが全体の3分の1も占めていることが分かりました。

これをどう受け止めるかですが、冒頭記事では、それがAIでも既にテクニックとして使われているショートカットに相当する、と解釈しています。

これが具体的にどのアルゴリズムを指すのかが今回の記事だけでは正直分かりませんでした。またどこかで深堀利してみようと思います。

ただ、シナプス経由だけではない割合が少なからずあったことは、脳内の処理機構が大きく変わるかもしれません。

以前から、シナプス以外での作用はいくつか唱えられています。

以前に紹介した例では、ジョン・ホーキンスが唱えた1000の脳理論、これもシナプス以外でも微弱な電気信号を行っていることに着目し、それが世界モデルとよばれる学習を行っていると考えています。

過去の関連投稿を引用しておきます。

コネクトームはあくまでスナップショットであって、例えばどのニューロンが興奮状態(他のニューロンを電気的に発火させる)か抑制状態(興奮の逆作用)かまでを把握することはできません。

ただ、今回の研究はシナプス以外でのニューロン内での作用に関する従来の仮説への優劣をつけ、そして脳内での発火ダイナミズムを他の手段で計測することが出来れば、新しい脳内での作用が拓けてくるかもしれません。

今後も続く脳の解析が、今のGPT含めた深層学習にどんな関係性で出てくるのか?

何が真相かは哲学的な問いになりますが、今後に注目していきたいです。

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