量子コンピュータの誇大広告と可能性
先日、マヨラナ粒子を再現することで量子コンピュータのエラー率低減(量子エラー訂正)に応用することができる、という話をしました。
量子コンピュータは、原理が量子力学を駆使した多様な技術があり、なかなか何が起こっているのかがつかみにくいです。
個人的には、量子コンピュータの原理とその現実を知るには、下記の書籍が分かりやすかったので紹介しておきます。
そしてこの業界の最新動向について、冷静に見る記事がありましたので紹介します。
やや意外でしたが、この技術は興味深いが製造はどうだろう、と冷静にみる識者の一人としてヤン・ルカン氏が載っています。
量子コンピュータというよりは、AI業界のレジェンド級の方で、今はMeta社でAI技術責任を担っています。彼のことについて触れた過去記事を参考までに載せておきます。
同記事では、AWS社の量子HW責任者オスカー ペインター氏が、量子コンピュータには誇大宣伝も多いが、前述の「量子エラー訂正」だけは期待ができる、というコメントが印象的でした。
量子エラー訂正は過去にも触れたので再掲しておきます。
この技法はGoogleも注目しており、2023年にこんな発表もありました。
他にもテックジャイアントを中心に様々な手法で量子コンピュータを実用化しようとしのぎを削っています。(ただ、既にAWSなどで使える環境ではあります)
下記に分かりやすい技術ロードマップが載っているので参考になりました。
縦軸の「物理量子ビット数」がキーになりそうです。
その2023年時点での最高値「1121」を実現した、IBMのプロセッサーに関する紹介記事を載せておきます。
この記事を読むと、IBM以外でも1000を超えるプロセッサも出てきているようですね。より混沌としてきました・・・。
物理量子ビット数は重要そうですが、量子計算のエラー率を低減する必要もあるので、個人的にはそれも加味して判断しないと、確かに誇大広告にだまされかねない感覚です。
今月も、その量子訂正エラーで興味深い研究発表がありました。
コアのアイデアは、中性原子(リュードベリ原子)の性質を応用した研究のようですが、このあたりもなかなか理解が追い付いていないので、どこかで学んでみたいと思います。
今年は誰でも使えるようになったことで、生成AIの話題が多かったように思いましたが、量子コンピュータの性能が高まり、AIとの組み合わせで新たなブレークスルーが起きるかもしれません。(ヤン・ルカンなどAI技術者でも注目している人は多いと思います)
誇大広告に惑わされないためにも、原理のイメージだけでも理解できるように学び続けたいと思います。