太陽の力で宇宙空間を進むユニークなヨットが離陸
宇宙空間を飛行するロケットや宇宙船が飛行機と大きく異なる点は「大気がないところを飛行する」ことです。ようは、飛行機は、大気中の酸素を取り込めますが、ロケットや宇宙船は自らで作らねばならない、ということです。
例えば、6/30に3度目の打ち上げを目指す日本の基幹ロケット「H3」では、液体酸素と液体水素を内蔵しています。
このような常識を打ち崩そうとする先進的な宇宙船が、4/24に打ち上げられました。ACS3と呼ばれます。
この宇宙船は、ヨットが帆の風によって動力を得るのと同じように、太陽光の圧力を推進力として利用するため、従来のロケット推進剤が不要になります。
こちらの動画を見るとイメージがわきます。
動画では大きさが分かりにくいですが、テニスコートの半分規模(約80平方キロメートル)です。こちらの写真をみればその巨大さが感じられます。
こんな巨大なモノをよく輸送ロケットに詰め込めたものだと思いましたが、打ち上げ時はランドセル(!)の大きさに畳まれて宇宙空間で展開するそうです。
あとは、ウィンドサーフィンと同じく、風(太陽光をどう受けるか)を予測するような仕組みが鍵になっていくのでしょうか。
今回はまさにその実験として打ち上げられました。直近の目的は、近年話題になっている宇宙天気向けの衛星として期待されています。
宇宙天気とは、太陽風(フレア)など地球環境にも影響を与えかねない現象を事前に予測しようとしています。過去にも触れたので載せておきます。
今後本番機は、さらに巨大化してサッカー場の半分ぐらいの大きさになる予定だそうです。(大きいほど大量光の推進力が大きくなる)
1つの技術的なカギは、いかに軽く丈夫な帆を設計できるか、のようです。
炭素繊維などで開発しているようですが、これはソーラーヨットだけでなく、宇宙開発全般に転用できそうです。
ちなみに、同じ原理で地球外生命探査を目指す企画もあります。
ブレークスルースターショットと呼ばれ、ブレークスループロジェクトの1メニューです。
同じ太陽帆ですが、自然の太陽光でなく地上からレーダー光線を当てることで行きたい方向に推進していきます。こちらも映像で見たほうが早いので紹介しておきます。
ひと昔前なら完全にSFとして笑われていたかもしれませんが、ガチで計画が進められています。
こちらは、自然光でなくレーダー光線をあてるので、より丈夫な素材が求められそうですね。
いずれにせよ、宇宙空間で得やすいエネルギーであることは間違いないので、ぜひ宇宙でのセーリング技術でブレークスルーが起こってほしいと思います。
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