宇宙を解き明かす先駆者:カール・セーガンの科学的遺産
11/9は、SF作家カール・セーガン(Carl Sagan、1934–1996)の生誕日でした。それを記念した記事があったので、科学者としての一面を紹介します。
今回の内容は、主に上記と下記伝記を参考にしています。
元々宇宙天文学を志して惑星科学者となり、地球外生命体探索(SETI)について、NASAと一緒に取り組んでいました。
おそらく科学者として世間に知られたのは、ボイジャーとバイキングと呼ばれる、探査機に積まれた人類情報を届ける考案者としてだと思います。(今では賛否両論あり、積極的に発信する活動はほぼ行われていません)
こちらについては、過去何度も取り上げたので興味のある方はそちらで。
元々の本業である惑星研究者としても重要な業績を残しています。
1.金星
過去に地球外生命の可能性も期待されてましたが、金星の地表は(太陽に最も近い)水星の表面温度(平均169 ℃)よりも高い、という理論的におかしな観測結果を得ます。
この謎を解いたのがセーガンで、大気の主成分である CO2による温室効果のためであることを証明しました。
2.木星
木星の衛星で氷に覆われた「エウロパ」、この氷の地下に海が存在する可能性を示唆したのもセーガンです。
その最新の探査計画が「エウロパクリッパー」です。
10/14に無事に打ち上げられ、2030年に到着する予定です。
3.火星
今でも太陽系惑星内で最も生命可能性が期待されており、こちらについても下記の研究実績を残しています。
・季節変動の解明: 火星表面の明暗の変化が、風による塵の移動によるものと示唆。
・大気と気候の研究: 火星の大気が主にCO2で構成され、気候変動が過去に存在した可能性を示唆。
ちなみに、1997年に(バイキングに次いで)火星へ着陸したマーズ・パスファインダーの基地は、彼の功績をたたえて「カール・セーガン記念基地(Carl Sagan Memorial Station)」と名付けられています。
最後に、科学以外の活動について紹介しておきます。
科学啓蒙だけでなく、核兵器についても警鐘を鳴らし続けていました。
具体的には、晩年にあたる1983年に「核の冬」理論を提唱しました。
これは、もし全面的な核戦争が発生した場合、爆発による火災で大量の煙や塵が大気中に放出され、太陽光が遮られることで地球全体が寒冷化し、農作物の壊滅や生態系の破壊を引き起こすというものです。
今となってはある程度常識となっている感もありますが、それもセーガンの啓蒙によるところが大きかったのかもしれません。
セーガンが生きていれば2024年で90歳になります。
もし存命だったら、どういった活動を行っているのかは色々と想像してしまいます。
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