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AIと環境問題の思わぬ接点

最近は、AIが基礎科学の発見から経済・社会・芸術活動など多岐に渡っています。

社会のなかでも、地球規模で議論が起こっている気候変動問題。ちょうど先日、国連が主催する首脳クラスが集って議論するCOP28がUAEで開催されています。

既に岸田首相は現地入りしていますが、米国大統領が欠席するなど、今の国際情勢の不安定性を表しています。(欠席理由は述べていませんが、開催国が中東国というのも大きいと想像します)

基礎科学でいえば、アルゴリズムが新しい発見を補助する面が連日のごとく発表されていますが、その膨大な計算を処理するデータセンターでも気候変動の影響が押し寄せています。

毎年AIのマクロ動向を多面的な視点で報告するAI Index Annualというレポートがあります。

投稿時点で最新の2023年版での要点を箇条書きにしておきます。

  • 産業界はアカデミズムを凌駕

  • 従来ベンチマークではパフォーマンス評価が飽和(新たな指標が必要)

  • 世界最高の科学者はAIか?

  • AIの悪用が急増

  • AI関連の専門スキル需要は、米国の全産業分野で上昇

  • 過去10年間で初めて、AIへの民間投資が前年比減少(2022年実績)

  • AI導入企業率は頭打ちだが、導入済み企業は引き続き前進

  • 政策立案者のAIへの関心は増加

  • 中国の国民はAIサービスに好意的だが、米国はそこまででない。

  • AIは環境に貢献すると同時に害を及ぼす

環境への貢献というのは、分かりやすいのは可視化と最適化でしょう。
数年前に真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)氏がノーベル賞受賞したのも地球の温暖化予測をコンピュータでモデル化したことにあり、今でもそれが洗練されつづけており、ある意味AIともいえます。
産業や日常でもAIがエネルギー予測および最適化提案するケースは珍しくなくなりました。

では逆に害を及ぼすとはどういうことかというと、AIを動かす電力消費量が環境にまで影響を与える可能性がある、という指摘です。

レポート内からチャートを引用しておきます。

上記レポート内の図

GPTが傑出していますが、CO2排出量が502t、と言われてもピンとこないと思います。
例えば日本の平均的な家庭での排出量は2.88tと計算されています。(出所
単純に割り算すると、173世帯相当になります。

余談ですが、CO2排出量を日常に例えたサイトを見つけたのでシェアしておきます。普段使いなれない指標はこうやって置き換えないとなかなかつらいですね。

もちろんだから危険だ、という水準とは思えませんがGPTの競合含めて今後爆発的に電力消費量が伸びることは間違いないと思います。

今後AIシステム自体を多面的に評価するときに、パラメータ数だけでなくこういった指標も必要になってくるときがくるかもしれません。

これはAIシステムだけでなく、科学実験施設でもすでに起こっていることは過去にもふれました。

くくると、「成果だけでなく消費するエネルギーも考慮しましょう」ということですが、議論のバランスを欠かないよう、理性的な視点は持ち続けたいです。

まずはCOP28の成功を一市民として心から願っています。

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