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SpaceXに対抗するニッチチャレンジャーRocket Lab
ロケットと言えば、イーロン・マスク率いるSpaceXの話題が多いですが、他にも注目のロケットベンチャーはいます。
その1つRocket Labが、日本のSynspective社が製作した人工衛星の打上げに成功しました。
※タイトル画像:創業者のピーター・ベックと開発中ロケット
Synspectiveは、SAR(合成開口レーダ)衛星を強みとし、これが実質的な商用実証機という重要な打ち上げでした。
SAR衛星の特徴については、過去にも触れたので引用にとどめておきます。
このペイロード(積載物)を打ち上げたのが、Rocket Labが開発したElectronと呼ばれるロケットです。
今回はそのニッチですが注目されているRocket Labについて紹介します。
実は他にも、世界初の人工流れ星サービスを提供している日本のALE社製人工衛星も、Rocket Labは数年前に打ち上げを成功させています。
ただ、こちらは、打ち上げ後に残念ながら流れ星自体の放射はまだうまくいっていないようです。
勿論日本企業以外にも多くの民間企業がここの衛星打ち上げを選んでおり、その最大の要因は「低コスト」です。
Rocket Labは、無人ロケットによる民間向け小型衛星打ち上げに注力しており、その斬新な設計とコスト削減で有名な会社です。
大体の目標として、一回の打ち上げコストを「500万USドル」未満にしようという野心的な目標です。
参考までに、あくまで現時点の値ごろ感ですが、SpaceXのファルコン9はその10倍ぐらいのスケールと思ってください。(それも別に際立って高いわけではないです)
衛星打上をお願いする側から見ると、数kgという超小型衛星であれば、1000万円を切ることも可能です。
ロケットは軽量化と推進力の掛け算が性能を大きく左右し、Rocket Labが当時画期的だったのは、そのロケット本体を炭素繊維強化プラスチック (CFRP) で製作している点です。これで軽さと頑強さのバランスをとっています。
他にも、心臓部にあたるエンジンを世界初のバッテリー駆動型とし、かつその主要部品を3Dプリンタで製作しており、このあたりがコストダウンの秘訣です。
念のためですが、ここでの3Dプリンタは、金属も加工できる特殊なタイプを自社で開発しています。
今では、この3Dプリンタでロケット開発することを事業としている企業もあり珍しくなくなりましたが(よく中国では耳にします)、自社による独自開発で採用したのはこの企業が初かもしれません。
しかも、現時点では小型衛星に特化した使い捨て型のみの打ち上げですが、目下再利用型の大型ロケット開発「Neutron」を進めており、今のスケジュールでは2024年の完成を目指しています。
既にNASAとの契約実績もあり、Neutronが完成すると、アルテミス計画などで注目される、月・火星への物資輸送候補ともなりえます。
このように、SpaceXに続けとばかりに、新しいイノベーションをひっさげたベンチャーが出てきつつあります。
ぜひこれからの新しい競争にも注目していきたいと思います。