199億の瞳〰エキゾチックボイジャー〰
以前に、地球から最も離れている「ボイジャー1号」の話をしました。
ボイジャー1号には、記事内タイトル画像のとおりゴールデンレコードと呼ばれる地球の人類の情報が詰まっており、日本からは尺八が収録されています。
そんな元気な1号とほぼ同時に打ち上げられたのが「ボイジャー2号」です。
ボイジャー2号は、1号よりは近場にありますが、それでも太陽系は既に脱出しており、距離にして199億km!
そんな遠い遠いボイジャー2号に、通信トラブルが発生したことが話題になっています。
ようは、
作業ミスで通信不能になったが、何とかリカバリできた、
という話です。(タイトル画像は上記記事内の図。Credit:NASA)
作業ミスというのがちょっと意外でしたが(全自動だと思ってました)、アンテナ角が2度ずれてしまい、このままだと定期的なリセット処理が行われる10月まで回復が難しかったようです。つまりそれまで貴重な観測データはとれません。
どう不測の事態を復旧させたかというと、ボイジャー2号に向けてとあるアンテナから、その向きを戻すコマンドを送信したそうです。
X(旧Twitter)でそのサルベージに成功したアンテナが投稿されています。
改めてですが、距離にして199億km。通信に片道18.5時間かかります。
そして往復37時間たって、ボイジャー2号から返信が返ってきた、つまり通信が復旧されました。
さぞや関係者の方々はハラハラした1.5日だったのではないかと思います。
ということで、無事復旧して、1号同様今でも太陽系外の貴重なデータを送り続けています。
到達距離だけでなく人工衛星の中で最も働き者じゃないかと思います。
その動力源は放射性同位体熱電気転換器(Radioisotope Thermoelectric Generator:RTG、原子力電池の一種)で、冒頭の過去記事によると、2025年ごろに1号は燃料が尽きるそうです。
ちなみに1号の到達距離ですが、投稿時点では地球から約 240 億kmです。
ということは同型同時期に打ち上げられ2号も近い時期にその任務を終えて、文字通りVoyage(計画的な旅行というより気ままな旅の語感)に移行するのでしょうか。
ボイジャー兄弟の最新情報はNASAの専用サイトでチェックすることができます。
今までは、ごくたまに今回のようなニュースになるときしか訪れませんでした。
これからは月の一度ぐらいは定点観測で覗き、エキゾチックなインターステラー(星間)の世界を少しでも感じられたらと思います。