世界最大の有人宇宙計画を支える世界最小の「オモテナシ」
世界最大の有人宇宙開発プロジェクト「アルテミス計画」で打ち上げロケットとなるSLS(スペースローンチシステム)が、発射台に到着しました。
アルテミス計画は、史上初の女性飛行士による月面探査、そしてその先には有人火星到着までを目標においた壮大なプロジェクトです。
ただ、予算調達や調整に時間がかかっており、当初の2024年から2025年以降にずれ込むことが決まり、今回やっとその次の一歩となりました。
そのあたりの経緯・現状はこちらにも投稿しているので割愛します。
到着したものの、打ち上げテスト(まずは無人)自体は4月以降という、なかなか焦らしてくれるスケジュールです。
今回は、SLSに搭載された世界最小の衛星について紹介します。
今回、SLSに搭載予定の人工衛星は全部で13機あり、うち10機は米国内で開発し、残りは日本の2機とイタリア1機です。(当初は全て米国製予定でしたが、色々ともめ事があり、3機を急遽海外発注したという噂)
いずれにせよ、2機も受注したことで日本での注目ぶりもうかがえます。
その日本が開発した名称は「EQUULEUS」「OMOTENASHI」と呼びます。
大まかに2機の役割を書いておきます。
EQUULEUS(EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft:エクレウス)
なかなか暗記しにくい名称ですが、要は月の周辺のプラズマ(電気を帯びた粒子状態)や微小隕石・塵環境の観測を行う予定です。
残念ながら月には降り立ちません。
OMOTENASHI
投稿時点では世界最小(約12kg)で月面着陸する探査機となります。
月面での放射線など環境測定を行うことで、今後人類が月・火星に降り立った時の人体への影響調査に貢献します。
上記の開発過程や説明動画がJAXA公式サイトで紹介されていますので、関心のある方はぜひご覧ください。
OMOTENASHIについて補足します。ちなみにこれは頭文字をとったもので、「Outstanding MOon exploration TEchnologies demonstrated by NAno Semi-Hard Impactor」が正式名称です。
OMOTENASHIのこだわりポイントは「超小型化」です。
意外なことに、元々NASA計画では月面着陸予定の探査機はなかったそうで、その新鮮な挑戦が受注につながったといえます。
名称にもあるとおり、セミハード、つまりある程度の速さで月面に衝突するため、衝撃吸収する部材も搭載しています。
素材までは分かりませんでしたが、こういった材料技術は日本が強そうなイメージです。
感動したのは、「超小型化を目指した理由」で、資本力のある組織だけでなく中小・学術機関・個人といった方々でも月面探査への参入可能性を広げたい、という思惑があるとのことです。
つまり、OMOTENASHIとは未来の挑戦者に送られたエールともいえます。
まだ先になりそうですが、2回目のOMOTENASHIが世界中で話題になるかもしれませんね。
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