Nature誌が選ぶ2024年を彩った10人の科学者たち
Nature誌が毎年選ぶ、2024年で科学に貢献した10人が発表されました。
それぞれ違った角度で業績を残した方ですが、ざっくりわかるように箇条書きで紹介しておきます。(順不同)
Ekkehard Peik(物理学者):
核を基盤とする「核時計」を開発し、従来の原子時計を超える精度を実現する可能性を示した。
ヨーロッパの研究グループと協力し、トリウム-229のエネルギー遷移を測定して「時を刻む」現象を確認した。
Kaitlin Kharas(博士課程学生):
カナダの大学院生とポスドク研究者の給料を20年ぶりに引き上げるためのキャンペーン「Support Our Science」を主導。
全国的な抗議行動や政府への働きかけで、給与増額を実現。
Li Chunlai(地質学者):
中国の月探査計画「嫦娥6号」で月の裏側からのサンプル収集を主導。
南極-エイトケン盆地のサンプル分析を通じて、月の進化と惑星科学への新たな洞察を提供。
Anna Abalkina(不正研究調査者):
科学論文の不正や詐欺行為を追跡し、ロシアや旧ソ連圏の「ペーパーミル」やハイジャックされたジャーナルを暴露。
これにより、数百件の論文撤回を達成。
Huji Xu(医師・研究者):
ドナー由来のCAR-T細胞を用いた画期的な自己免疫疾患治療を実施。
治療を受けた患者の症状改善を報告し、大規模な応用可能性を示した。
Muhammad Yunus(経済学者、ノーベル平和賞受賞者):
バングラデシュの学生運動による要請で暫定指導者に就任。
腐敗排除や人権保護、平等な雇用機会の提供を目指した改革を推進。
Placide Mbala(疫学者):
中央アフリカでの猿痘(mpox)の流行を早期に警告。
ウイルスの新株を特定し、グローバルな蔓延を防ぐための対策を主導。
Cordelia Bähr(弁護士):
スイスの「高齢女性気候保護団体」とともに、スイス政府の気候政策を人権侵害として欧州人権裁判所で訴訟を勝訴。
気候変動訴訟の画期的な判例を確立。
Rémi Lam(研究者):
AIを活用して天気予報の精度を大幅に向上させる技術を開発。
グラフベースのモデル「GraphCast」で従来の予報モデルを凌駕する成果を発表。
Wendy Freedman(天文学者):
宇宙膨張率の議論に新たなデータを提供し、ハッブル定数に関する論争解決に貢献。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いた観測で新しい知見を発表。
いかがでしょう?過去にも取り上げた分野もありますが、中には不正論文防止などユニークな貢献もあり、またどこかで深堀したいと思います。
10名のみなさま、本当におめでとうございます!