地球・宇宙最大のソニックブーム
イーロン・マスク率いるSpaceXの次世代ロケットStarshipが6回目のフライトテストを行いました。下記でアーカイブ視聴可能です。
Starshipの売りは完全再利用にありますが、その帰還時に発生するソニックブーム(音速を超える際に生じる衝撃波)が波紋を呼んでいます。
5回目の打ち上げ時は想定以下の騒音でしたが、帰還時のソニックブームは10kmの距離で10psf(約478Pa)を超える強度となり、これは従来のFalcon 9ロケットと比較してもはるかに大きな値です。下記サイトでより詳しく報告しています。
現時点で法的に違反しているわけではありませんが、今後は物理的な被害を与えないように着陸場所周辺への配慮が求められるでしょう。
宇宙規模のソニックブーム
Starshipは地球最大規模ですが、実は宇宙規模で起こっているソニックブームも話題になっています。
ようは、
とある銀河が周辺の銀河と衝突した際に発生した衝撃波がソニックブームに似ている、
という話です。
実はこの銀河は以前から相互作用で注目されていた「ステファンの五つ子」
と呼ばれています。地球から約2億9000万光年という超遠距離にある銀河群は、その美しさから過去にも紹介しました。
今回は5つのうちの1つが、時速320万kmで移動して衝突し、地上でその衝撃が測定されました。
実は学術的にも意義があると考えられており、5つ子同士の衝突からどのように銀河が形成・成長していくのか洞察を与えてくれます。
その過程の解像度が上がっていくと、今度は時計を逆回しして銀河を構成する恒星の進化をたどることが出来ます。翻ってそれは我々の属する天の川銀河の研究にも寄与します。
ちなみにこの五つ子は、数十億年後には1つに合体している可能性があるとのことで、ソニックブーム含めて宇宙のダイナミズムを感じる発表でした。