![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165807183/rectangle_large_type_2_8cb29a3dac7042ac17f5b113c84d78db.png?width=1200)
SCIENCEブレークスルー賞2024:HIVの治療薬
Science誌が毎年発表するブレークスルー賞、2024年版が発表されましたので、紹介します。2年前は宇宙望遠鏡、1年前は肥満治療薬でした。
2024年はこちらのサイトで公開されています。
タイトルのとおり「HIV治療薬」が選ばれました。
HIVとはウイルスの名前で、ざっくり言えば「ヒト免疫不全ウイルス」、正式には「後天性免疫不全症候群」と言います。名前の通り感染すると、病気とたたかう抵抗力(免疫力)が低下します。
今でもHIVは年間 100 万人以上を感染させており、ワクチンはなかなか開発されていませんでした。しかし2024年に登場した「レナカパビル」という薬が曝露前予防(PrEP)として使用された場合、感染率を大幅に低下することが期待されています。
既にその抑止効果を出した報告は行われています。
HIVのゲノムは2本鎖RNAでできており、独特な円錐(えんすい)の形をした殻(カプシド capsid)の中に収められています。このカプシドはRNAを保護し、感染先細胞にRNAを運び込む役割を担っています。
今回のブレークスルーは、このカプシドの構造をより詳細な解明に成功した点にあります。
最新の研究によって、この円錐状のカプシドは、5~6分子の安定かつ柔軟な格子で構成されていることが分かりました。この新たな知見が研究組織(ギリアド)の研究者らの興味をそそり、レナカパビルの開発につながっています。
他のウイルスでも今回のようなカプシド状であるケースもあれば(文中読む限りはありそう)、今回のアイデアを応用できる可能性があります。
ということでHIVはその一段で、今回の手法が害悪なウイルス予防に広く展開されそうです。
まだ限定地域でのケースなので、これからさらにその成果が発表されると思いますが、まずは今回の受賞に対して関係者の皆様に心からの祝福を送りたいと思います。