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ムーンスナイパーSLIMが休息に入ったので、今までのキセキを記録

日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小型月着陸実証機「SLIM」が、しばらく太陽があたらない夜の期間が続くため、電源を落として休眠にはいりました。

この10日間多くのメディアが報道したので、宇宙ファンだけでなく多くの方がSLIMの動向に注目したと思います。

発射場付近にある中学校でもこんなお祝いをしてくれました☺

次の朝(数週間)を迎えて復活する可能性はありますが、まずはこれで区切りがついたので、その軌跡と奇跡について書いてみたいと思います。

<SLIMの旅路(日本時間)>
2023年9月7日:HⅡAロケットで地球を離れる
2023年12月25日:月軌道投入に成功(極軌道で6.4時間かけて月を一周)
2024年1月20日 0:20頃:月には着陸したが、太陽電池稼働不具合が判明。2.5時間後に電源を一時的に停止
2024年1月22日:停止までに撮像したデータは地球へ送信完了と発表
2024年1月25日:JAXA記者会見。エンジントラブルで着陸姿勢が悪く太陽電池が動かなかった可能性に言及。SLIM自身の画像も公開
2024年1月27日:NASAの月衛星がSLIMの撮影を公開
2024年1月28日:再起動後に太陽電池の正常稼働を発表
2024年1月29日:SLIM最新画像を公開
2024年2月1日 14時:SLIM休眠を発表

改めて並べてみると、これだけでちょっとしたミニドラマが創れそうなハラハラストーリーでした。
そういえば、小惑星探査ハヤブサも映画化されたので、もしかしたらワンチャンスあるかもしれませんね。期待しましょう。

今回のマイ見どころはその着陸姿勢の写真。これを見てつい感情移入をしてしまったのは私だけではないはず。

JAXA提供

人間に例えるなら「倒立」みたいなイメージです。

昔の漫画で「ジョジョ立ち」という有名(?)な立ちポーズがありますが、今後「SLIM立ち」がはやるかもしれませんね。

さて、今回無事に着陸したものの、気になるのがエンジントラブルです。

2つあるメインエンジン(スラスター)のうち1つがノズルごともげたようで、その結果姿勢が不安定になったようです。
実は過去に、火星探査機「のぞみ」・金星探査機「あかつき」でも同じようなトラブルが発生していました。
かつ、2026年以降に予定している火星探査機MMXでもこのスラスターは使われているので、ぜひ改善につなげてほしいところです。

それ以外はトラブルにもめげずに順調に作動し、元々目的としていたピンポイント着陸にも55mという精度を実現しています。

そしてもう1つの目的が埋もれがちなので添えておきます。

今回は実証機ですが、「月の起源」を探るという素敵なミッションも背負っています。

SLIMには様々な光の波長でデータを撮れるカメラ((マルチバンド分光カメラ)が内蔵されており、そのデータが257枚ほど地球に送られています。

特に今回注目しているのは「カンラン石」。

そもそもですが、月はどうやってできたのか?

今のところ有力な候補は「ジャイアントインパクト説」と呼ばれるものです。過去にも投稿したので詳細は任せますが、要は月に惑星が衝突して分離したという壮大な説です。

今回分析したカンラン石の組成を地球のマントルと比較することで、その説が正しいかを検証するというわけです。

どこかで月の歴史にもふれたいぐらい、この数週間で注目をさらに浴びてますが、まずはこの英雄に休息を与えたいところです。

本当にSLIMさん、お疲れさまでした。

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