ジャンクDNAから生命が誕生!?
我々の生命に関する、なかなか衝撃的な研究成果が発表されています。
ようは、
遺伝子を継承するDNA以外の個所からも、たんぱく質が創られている(遺伝と関係ない生命物質がある)
という話です。
DNAは遺伝情報となる4種類の塩基がペアで二重らせん構造を作っている、というのは知られています。
DNAがたんぱく質に変換されるプロセスを「セントラルドグマ」と呼び、地球で見つかった生命共通の原理です。(なのでドグマという大層な名前がついています)
ただ、実はこのプロセスを担うのはDNA全体のわずか数パーセントにしかすぎません。この箇所をコーデイング領域と区別することもあります。
そしてそれ以外を「非コーディングDNA」と呼ばれ、実は過去は何をしているのかが分からなかったので「ジャンクDNA」と呼ばれたこともあります。(余談ですが、初めて名前をつけたのは日本の生物学者です)
今は、逆にこのジャンクDNAの研究が進み、決してジャンクでないことが分かっています。
その代表的な役割は、遺伝子のスイッチ機能です。コーディング領域が実際に遺伝機能を発現する役割に関係しています。
これは(ここが全てではないですが)エピジェネティックと呼ばれています。過去投稿を引用しておきます。
前置きが長くなりましたが、今回の研究発表では、このジャンクDNAからもたんぱく質が創られているのではないか?という指摘です。
この意味するところは・・・、
人類には遺伝に関係しない生命パーツがある
ということを示しており、やや誇張すると人類の起源に影響を与えるかもしれません。
このように、親から受け継いでいない新しく発生した変異のことを「de novo」と呼びます。(和訳はまだ見たことがないです)
あくまでまだ仮説ですが、下にその人類独自性を図で表現したものを引用しておきます。
誤解しないように補足しておくと、多くの生物でde novo変異はありますが、人類固有かもしれないというものがまずは2つ見つかったということです。
得てして我々は、人類由来で特殊なものを見つけたら過大評価しがちです。
実際過去に、最古人類の化石発見で大捏造事件(ピルトダウン事件)も起こったことがあります。興味ある方は下記を参照ください。
今回の研究内容でも触れてますが、まだこの人類固有のノンコーディングDNAがどれくらいどのようにたんぱく質(マイクロたんぱく質と呼称)に変換されているのかを注意深く研究する必要があります。
今回含めてジャンクDNAが決してジャンクでないことは徐々に解明されており、今後も注目の研究分野です。
この研究の続報も楽しみに待ちたいと思います。