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ダークマター(暗黒物質)のない透明な銀河が見つかる

現在の宇宙論では、我々が知る原子・分子などの物質はわずか5%未満で、残りは「闇」に包まれています。

ふざけているわけでなく本当にダークな呼び方をしており、「ダークマター(27%)」と「ダークエネルギー(68%)」と呼ばれます。

それ以上は過去に紹介した記事を引用しておきます。

1つだけそれを発見しようという日本のプロジェクトXMASSの説明サイトを引用しておきます。

出所:上記記事内の図

XMASS(エックスマスと読みます)は、地下深くに液体キセノンと別の素粒子(ニュートラリーノやアクシオンなど)がぶつかる観測を通じてその存在を証明しよう、というものです。

他にも多くの研究グループがダークマターを見つけようと、いろんな方法を試みています。

が、今回はその真逆で「ダークマターは存在しない」という証拠が提出された研究が発表されました。

ようは、
NGC1277という銀河にはダークマターは含まれていない、
という話です。元の論文はこちらから参照できます。

やや誇張したふりをしてしまいましたが、あくまで存在しなかったのは「1つの銀河」です。

この銀河は近隣銀河との相互作用がない「遺物銀河」とよばれており、宇宙初期に形成された結構レアな存在だそうです。

宇宙の標準モデルに基づくと、NGC1277銀河全体の10%超はダークマターである、と予測されていました。
ところが、銀河からのスペクトルをもとに銀河を構成する星の分布を割り出すと、ダークマターは一切不要だった、という不思議な結果が分かったわけです。

ちなみに、ダークマターはいってしまえば消去法に近く、なければ物理法則(主に万有引力)のつじつまが合わない、という論法で導入されました。

この遺物銀河をどううけとめるか、意外に悩ましい問題です。

今の考えでは、他の周辺銀河がもたらす引力でダークマターが対象の銀河からはぎとられたのではないか?などといった意見も出てますが、まだ謎のままなようです。

下手をすると、この特殊ケースが特殊でなく、従来の標準的な考え方を大きく見直す必要がある可能性もゼロではありません。

その場合、考えられうる選択肢は・・・
1.実験の計測ミス
2.重力理論の見直し
3.その他(思いつかない・・・)
です。

なかなかどれも受けとめにくいかなと思いますが、こういった例外から科学は発展してきたのも事実です。

事実を受け止めてそれを包み込む新たな説が出るのも楽しみです。

そのときには宇宙の闇のベールがついに明らかになり、透明な宇宙になっていることでしょう。

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