シン・ウルトラマンの唱える宇宙物理
そろそろシン・ウルトラマンがオンデマンド配信されるようです。
(タイトル画像部は公式サイトより引用)
私は映画で見たのですが、最新の物理用語を多用していて想定外のワクワクを感じました。
今回は、ネタバレをしない範囲で登場した用語解説をしてみたいと思います。
まず、時代設定だけ触れておきます。
巨大不明生物“禍威獣(「かいじゅう」の当て字)”が現れる日本が舞台です。時期の設定は不明ですが、見る限り現代と同じ街並み・ファッションです。
日本政府は禍威獣の脅威に対処するため、防災庁に通称「禍特対」(禍威獣特設対策室専従班)を設立し、そのメンバーたちが主役となります。
旧(?)ウルトラマンをご存じの方は同じ設定だと思ってください。
今回物理用語で一番興味深いのは、ウルトラマンがどこからやってきたのか?です。
我々人間から見ると消えたり現れたりで四次元ポケットのような感覚ですが、まさに異次元を往復します。
映画ではこの多次元の宇宙を「プランクブレーン」と作中では呼ばれます。
結構中核に関わるので、物語の中身に踏み込むのは避けておきますが、これは現実の宇宙物理研究で「多次元宇宙(マルチバース)」の中で真剣に検討されています。
こちらについては、過去にもさらっと触れましたので引用しておきます。
このプランクブレーンですが、実研究の名称は異なり「ブレーンワールド」と便宜上呼ばれます。
ブレーンは共通名ですがおそらく「プランク」とは、量子力学のきっかけを生んだ伝説の科学者マックスプランク博士からとったものと推察されます。
で、肝心の「ブレーンワールド」って何?ですが、ブレーンとは膜です。
ただ、我々の3次元空間宇宙では知覚できない高次元の存在です。
元々立脚している理論は、「超ひも(弦)理論」です。こちらも過去の投稿を引用しておきます。
ようは、我々が知覚出来ないより高次元の存在があり、それを「ひも」を比喩的に表現した理論です。
その理論に従う限り、我々の宇宙は9次元空間に浮かぶ3次元の膜(ブレーン)と見る事も出来ます。
このブレーン宇宙論にもいくつか流派(モデル)があり、一時期日本でも話題になったのが、リサ・ランドールが提唱した「ランドール・サラドラムモデル」と呼ばれるものです。
なかなか小難しい理論なので、1つだけ添えておきます。
超ひも理論もその候補である万物の理論では、一番取り扱いが難しい存在が「重力」です。
その理由の1つは、他の3つの力と比較して、あまりにも小さすぎることです。
このランドール氏のモデルではそれに対して、重力以外の「ひも」は我々の膜にひっついて離れることが出来ないが、重力だけが他の膜(宇宙)を行き来することが出来ます。
従って、重力だけが多次元にエネルギーが分散して小さくなった、というロジックです。
ランドール氏は啓蒙書も高い評価を受けており、私自身もお勧めするのが下記の書籍です。ぜひ興味を持った方は、シン・ウルトラマンを視聴する前に一読するとより楽しみが増すと思います。