社会を変える10大技術革新とマラリア感染のいま
科学系メディアMITテクノロジーレビューでは、近い将来社会への大きな影響が予測される10個の革新的なテクノロジーを毎年発表しています。
その2022年版が最近発表されました。
上記記事より抜粋します。
なんとなく「そうだよね」と上から見ていく中で、想像してなかったのが「8.マラリアワクチン」です。
個人的には、マラリヤはあまり聞かなくなっていて、ある程度感染は世界的に収まったのかと誤解してましたが、まだまだ重要な社会課題でした。
World Malaria Report2021によると、2020年では世界中で推定2億4100万人のマラリア症例と62.7万人のマラリア死亡と発表されています。前年比較で約1400万人の感染者数増加です。
下記記事では、パンデミックの混乱による影響についても言及しています。
痛ましいのは、マラリア感染はサハラ以南のアフリカに偏っており、2020年では全症例の約95%、全死亡の96%を占めています。そして、この地域の死亡の約80%は5歳未満の子供です。
そしてとうとう2021年10月に、WHO(世界保健機関)が世界初のマラリアワクチンを承認しました。
パンデミックのニュースに翻弄されていて、こんな重要な出来事が起こっていたのを知らなかったです。
調べてみると、日本メディアでも報道はされていました。
これと、日本の風物詩ともいえる「蚊帳」を組み合わせることで、数万名のこどもたちの命を救える可能性があるとのことです。
このワクチンも、パンデミックで話題となった「mRNA」を元にした新しい技術で開発されたそうです。
マラリヤ撲滅で遺伝子技術といえばもう1つ、これは当時話題になりましたが、「遺伝子ドライブ」というアイデアも提唱されていました。
基本的に、マラリヤは寄生虫に感染された「蚊」経由で人間に感染します。その蚊自体の遺伝子を編集して、子孫に継承(ドライブ)させることで寄生虫の伝播を一気に阻止しようという考えです。
関心を持った方は、例えば下記を参照ください。
ちなみに私が印象的だったのは、慈善活動家のビルゲイツが2009年に行ったこちらの刺激的なプレゼンテーションです。(刺激的なのは5分ごろです)
ただし、遺伝子ドライブは生態系への影響が測り知れないため、まだ実験段階にとどまっています。
mRNAについては、現時点では(遺伝子を継承するスタートにあたる)DNAに対して改変を行わないと聞いていますので、私も安心してワクチンを接種しています。
遺伝子技術以外でも、つい最近、理化学研究所がとても興味深い研究成果を発表しており、今後新しい製薬に期待が持てそうです。
なによりまずは、今回承認されたマラリアワクチンが、一人でも多くの方々の命を救うことを心から願っています。