サム・アルトマン復帰でOpenAI取締役刷新。NPOガバナンスとAI安全性はこれから。
世間を騒がすOpenAIサム・アルトマン騒動で、取締役再編成が何とか決まり、CEO復帰になったようです。(暫定CEOとなったエメット・シアはOpenAIに参画しない方針)
OpenAI公式Xチャンネルの投稿を引用しておきます。
新しい人物がどかっと登場したので旧と新を並べておきます。あくまで投稿時点ですので、今後追加が発生するかもしれません。
いずれにせよ、唯一残ったのがディアンジェロです。(残存は意外でした)
ただ、彼も合意したアルトマンの解任決定に至ったプロセス(今のルールでは旧取締役4名全員が解任に合意したことに)が解明されていき、ひいてはNPOのガバナンス問題にも発展していくと思います。
いくつか記事を眺めていると、以前からこのNPOという組織ガバナンスに対する課題は指摘されていたが、自浄作用で特に大きな問題には発展しなかったようです。
1つだけ、参考になった記事を引用しておきます。
仮に上記記事が正しいとすると、現行では取締役会に辞任や変更を強制できるのは判事か州司法長官だけ、とのことです。
もう1つ、最大のライバルであるAnthropic(サービス名Claude)創業者は元OpenAI経営層で、スピンアウトした形になります。
その仲たがいで論点になったのが「AIの安全性」です。
今回得をしたのは、OpenAIの競合たちでしょう。元の鞘にもどったとはいえ、全員がサム・アルトマン派だったわけではなく、彼の方針には賛否両論があったと思います。
特に、急速にGPTを産業の世界に押し広めたことは、経済的利益は獲得した一方で、社会的利益については議論を待つところです。
改めてですが、OpenAIはNPOとして設立されて今でもグループ会社のTopに相当します。それが営利目的の組織を持つことは素直に違和感を感じます。
ただ、やや強引に今回の顛末を経て良かった点を掘り出すと、「AIの安全性」に対する世の中の関心が高まったことかもしれません。
以前にもAIの危険性については触れましたし、欧州をはじめとして規制の動きはあります。
その観点で、旧取締役のなかでは、イリヤがその危機意識が高かったと思います。(解任後に急に支持に鞍替えしたので、おそらくイリヤの正義感を悪用されたのだろうなと・・・)
これはOpenAIに限らない問題ですし、産業革命時に起こったラッタイト運動(下記参照)とは、人間たらしめる「知能」に介入する分、次元が違ってくると思います。
個人としては、ワイドショー的に楽しむよりは、AIに対する最低限のリテラシーをつけて(ここがないと過渡な危険だけを煽りがち)、自分なりの意見と距離感を保つことが重要なのかなと改めて痛感した騒動でした。