複雑系と創発現象がもたらす自然と人工知能の交点
AI(人工知能)が長年人間の知能(脳)に及ばないのが、その汎用性です。
単に特定の目的に特化した単一機能であれば、すでに人間を凌駕しているといってもよいと思います。(ゲームが分かり易い例)
その汎用性の獲得、いわゆるAGI(汎用人工知能)の実現に今生成AIベンダーたちがしのぎを削っているわけです。
その通過点になるかもしれないのが「創発」という現象です。
以前にも、知能ではなく「生命」の文脈で創発現象について触れました。
この「創発」という現象は、色んな文脈で使われるようになりましたが、ざっくりいえば、
個々の単純作用が全体でみると複雑で予測不可能なパターンが生まれる現象
を指します。
知能における創発について濃い投稿があったので砕いて紹介してみます。
タイトルのとおり、複雑系と創発の関係を、コンピュータ科学で解き明かそうという試みを紹介しています。
上記の過去投稿もそうですが、複雑系の科学で創発はよく見られます。「複雑系」自体はあくまで恣意的なジャンルまたはトピックです。(人工知能も似ていますね。)
まず注目したのが、「創発」という謎を解くための新たな方針(仮説)として下記を提唱しています。
階層構造: 複雑系は、下位層から独立して機能する層が重なった階層構造を持つ。
自然界のソフトウェア: 創発は、コンピューターソフトウェアのように、下位層の詳細を気にせず、マクロなルールで動作する。
計算力学: 複雑系のふるまいを、ミクロな詳細ではなく、マクロな状態遷移として記述する。
これらに則って、コンピュータ科学の手法(情報理論とか)を使った研究をそれぞれ進めているようです。今回はそこまでは掘っていないので、どこかで論文も当たってみようと思います。
創発は、上記で生命を例示したとおり、自然と人工(人間の精神活動の意)現象を幅広く解決する可能性を秘めています。上記内でも下記について期待しています。
自然現象の理解: 木星の大赤斑や脳の働きなど、複雑な自然現象のメカニズムを解明する。
人工知能の発展: 人工ニューラルネットワークなどの複雑なシステムの設計に役立てる。
自由意志の解明: 意識や自由意志がどのように生まれるのかという根本的な問いへの答えにつながる可能性がある。
これだけみると、自然科学各分野の大きな謎をそこそこカバーしている感覚がありますね。それだけ難しいテーマとも言えますが。
ちなみに、生成AIでも創発に近い現象は騒がれているので、抽象的にならないように、どこかで紹介してみたいと思います。