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人類最大の謎「脳」への研究に多分野の知見が結集しつつある

我々の脳の中での活動は、還元すると神経細胞ネットワークの電気信号リレーです。
実験レベルではそこから思考を読み解けることも可能で、過去に投稿した話を載せておきます。

こんなSF的なことができるようになったのも、観測技術とそれを解析する技術の掛け算だと思います。

最近では、日本の研究室でもAIを使って脳内映像を復元する実験成果が話題になっています。いわゆる「生成AI」を使ったケースです。

ようは、
fMRIで読み取った脳内データを学習させて生成AIも駆使して復元すると画像の色や形を大体復元できた、
という話です。

プレスリリースよりAIの役割を説明した図を張り付けておきます。

上記プレスリリース内の図

生成AIの中でも、チャットボット、つまり言語が最近はやりですが、その少し前に画像生成AIがブームでした。(好きな人の中では今でもブームです)

言語も画像も還元すると原理は同じで、それは各要素を数字の集合(ベクトル)に変換して数学的な処理を行います。
ちょっと極端な言い方をすると、我々が聞く・見る情報はすべて数学で表される、ということです。

最近は生成AIがバズっているせいで、メディアも多用しがちですが、あくまで画像生成機能として部分的に利用しています。

その生成するときの指示に、分子の動きを摩擦を考慮して予測するときに使われる「ランジュバン動力学」を導入したようです。化学の分野ですね。

ただ、それが答えにどこまで近いのかを採点する能力も重要です。
そこには、数学の分野の「ベイズ推定」で定量的に評価してそれを何度もすり合わせながら正解に近づける、という方法を採用しています。

もっと言えば、画像生成AIも物理の分野で長年使われてきた「拡散モデル」を応用したものが主流です。

過去にも触れたので、それ以上は割愛します。

宇宙の研究などは、実観測だけでは限界があるためコンピュータシミュレーションを積極的に活用するようになっています。

脳と対話するBMI(ブレインマシンインタフェース)の世界でも、上述のとおり、他の分野の技法を組み合わせて今回のような成果につながっているわけですね。

さらには、初めの一歩にあたる脳を読み取る技術も、(今回使った)fMRIだけでなくいろんな測定方法が出てきています。

丁度その歴史を総括す記事が最近掲載されているので紹介しておきます。

大きなくくりでいえば、脳内に埋め込むか(侵襲性)、外から計測するか(非侵襲性)です。
なお、侵襲性という言葉には多様な声もあるので、過去記事を引用しておきます。(BMIの基本事項も載せてます)

特に、脳内に移植するのは抵抗がある人もいるでしょうが、今後の展望としては、材料科学の進化によって、より脳に優しくなっていくだろう、としています。

下記のように、ポジティブな効果もある、という実験成果も発表されています。

脳を物理的に傷つけた患者(強く頭を打つとか)に、脳内デバイスを入れて回復した可能性がある、という話です。

こういった実験は今後も脳の分野で出てきそうです。

その時に、心地の良い流行語に引きずられるのではなく、従来積み上げてきた多分野の成果が組み合わさってイノベーションを産んでいる、という視点だけは押さえておきたいと思いました。

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