謎の小人の祖先を発見。人類史の歴史を変える!?
高い知能を備えた現生人類の直接的な祖先は、「ホモ・エレクトス」と呼ばれる原人という説が知られています。過去にその原因について紹介しました。
200万年前にアフリカ大陸で育ち、その後に他の大陸に渡ったと考えられていました。
ホモ・エレクトスが直接の祖先とおもわれているのは、その高い知能です。そして生物学的にはこのころ(直前のホモ・ハビリスも)に飛躍的に脳の容積が拡大したと考えられています。(その仮説が上記の過去投稿)
それ以降は脳の肥大化は進みますが、その常識を覆しかねない発見が東アジアの孤島でもたらされました。その最新研究に関する記事が公開されていたので紹介します。
舞台は、インドネシアに属するフローレス島という小さな島です。
ここで21世紀の初頭に、なんと1m程度の化石が発見されました。とある有名な小説の影響で小人を意味する「ホビット」の愛称でよばれています。(学術的にはホモ・フローレシエンシス)
身長と同じく脳の容積もはるか昔の猿人並に小さく、人類の進化史から逆行した発見として話題になっていました。
説としては大きく2つです。
1.ホモ・エレクトスがこの島にやってきて進化した(子孫説)
2.もっと古い猿人(〰200万年前)がアフリカから渡来(別系統説)
そして今回、この島での新たな遺跡(マタ・マンゲ)で発掘された化石からの形状から、ホモ・エレクトスとホビットの中間ではないか、という結論が出されました。つまり、1の子孫説です。
ただ、依然として謎は残っています。
なぜ、この島で見つかったホビットとその先祖だけ極端に小さいのか?
ここはまだサンプルが少ないため粗い仮説ですが、どうも孤立した島では、特殊な進化が起こる傾向はあるようです。
これは島嶼化(とうしょか)と呼ばれている現象で、ようは孤立した空間では極端に大きくなるか小さくなります。
実際、このフローレス島でも人類以外で同じような小型生物(例:ピグミー・ステゴドンと呼ばれる牛程度の像)が確認されており、島全体での現象なのかもしれません。
進化という言葉からは違和感があるかもしれませんが、進化=巨大化・高度化というのはあくまで思い込みです。実際ダーウィンも進化という言葉は使っていません。過去の関連投稿を添えておきます。
今のところ、ホビットの先祖は、100万年前にこの島に移り住んだと考えられており、そのころは既に孤島でした。つまり、彼らはわざわざ海を渡ってきたことを意味します。
身体的には小型化とはいえ、その生存能力は高いものがあったのかもしれません。
日本列島に移り住んだ我々の先祖(大体5万年前)よりもはるか昔の話です。そのリスクを冒して孤島に渡ろうとした精神面について、妄想が巨大化してしまいます。