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ブルーオリジンの打ち上げ失敗と構想

いきなり宇宙ネタですが、3度目の正直で打ち上げ再々延期になったアルテミス計画初号ロケットSLSですが、9月27日(米国現地時間)に決まりつつあるようです。

それ以上に今の宇宙関連ニュースで騒がしいのが、ブルーオリジン打ち上げ失敗の記事です。
※タイトル画像Credit:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Newshepard.jpg

幸い、無人かつ緊急着陸も正常作動してけが人はゼロだったようです。

ブルーオリジンは、いわずとしれたジェフ・ベゾスが2000年に創業した宇宙ロケットベンチャーです。
今回は、この企業について紹介してみたいと思います。

ブルーオリジンは、SpaceXのライバル的にみられますし、実際にアルテミス計画の輸送・着陸用ロケットで競争していました。
(入札後も訴訟騒動があったのでまたひと騒動あるかもしれません)

今回打ち上げたロケットは、「ニューシェパード」と呼ばれ、米国人初の宇宙飛行士アラン・シェパードから名付けられています。
初といえばガガーリンを想像しますが、そのわずか数か月後の出来事です。

今回が初の事故ですが、FAA(米国航空ルールを仕切る当局)が調査を行うそうで、やや敏感にせざるを得ないでしょう。

というのも、このロケットで今後定期的に有人宇宙旅行を計画しているからです。

ブルーオリジンは、「有人宇宙旅行」という側面ではSpaceXより一歩進んでいます。もちろんロケットの再利用も既に実現しています。

2021年7月に、ある意味史上初の「民間人のみの有人宇宙旅行」を実現しました。ニュースでも取り上げられたので映像を見た方も多いと思います。あれが今回のロケットと同機種(同一かもしれませんが裏付け困難)です。

ブルーオリジン公式Youtubeチャンネルから動画を引用しておきます。

人によっては、史上初はリチャードブランソン率いるVirginグループでは?と思うかもしれません。
時系列でいえば、彼らのほうが数日早かった(後だしのためたぶん確信犯)のですが、プロも同乗していたのと、高度が84kmにとどまり、国際航空連盟(FAI)による宇宙の定義である高度100km(カーマンラインと呼称)に達していませんでした。

個人的には国際的な標準ルールがないのでどちらでもいいですが、ジェフ・ベゾス陣営からすると、元々アナウンスして準備していたのでその座を奪われるのは、感情穏やかではなかったでしょう。
ということで、上記動画のタイトルで強調してますが「FIRST HUMAN FLIGHT」なわけです。

私自身は、宇宙ビジネスをしている企業で好き嫌いはないのですが、実は2021年10月に、安全性について内部告発もありました。(意外だったのがベゾスも以前に出資したBusiness Insider誌)

この記事だけだと、明らかにブルーオリジン側に非があるかは判断できませんでしたが(企業文化的か感情的な要素も感じました)、FAAがこの件も受け止めているという記載も最後にあります。
冒頭の事故調査もあるので、もし安全性に問題があるなら、是正指示で改善される可能性は高いと思います。

今回のニューシェパードは結構開発の歴史は長いですが、実は次期バージョン「ニューグレン」(米国初の地球軌道周回を実現した宇宙飛行士ジョン・グレンの名前から)を開発中です。

現時点では2023年以降にずれ込みそうですが、これによって有人宇宙船の可能性が広がっていき、さらには軌道上での人類の生活を実現する宇宙ステーション「Orbital Reef」についても構想を同サイトで公開しています。

もはやSFとの境目がないといっても過言ではないですね。なによりも、ジェフ・ベゾスのプロジェクトなので、否が応でも期待は高まります。

まずは、今回の事故でより有人飛行の安全性が高まることを願っています。

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