Teslaは電気自動車メーカーではなくなっていく!?
前回、TeslaのFSD(Full Self-Driving)機能が進化している話をしました。
ちょうど同日に、トヨタがTeslaの提供する充電インフラ規格を採用するというニュースが流れました。
EV普及の課題の1つは、ガソリン車でいうガソリンスタンドにあたるステーション設備です。あのトヨタまで採用した、というのはそこそこ大きな話題です。
ただ、自動運転という視点ではまだ学習、もっといえばAIの技術的な進化が必要かもしれません。
Teslaは上述のとおり、ゼロからニューラルネットワークにゆだねていく方針になりそうですが(公式には未発表。あくまでV12でそうしてるとイー論が発言しているだけ)、となると膨大な運転学習基盤が必要になってきます。
従来そして今もその学習用チップはNVIDIA製を大量に購入していました。
ところが、Teslaがユニークなのはとうとうそのチップ自体も内製してしまおうという方針です。
目下その過渡期でそのプロジェクトを「DOJO」といいます。
日本語の「道場」が由来です。
余談ですが、たまに日本語の語感を気に入って近しい名前をつけるグローバルサービスもあり、元Adobe CEOが立ち上げた「DOMO」もその1つです。
DOJOはすでに2021年のAI Dayで発表済みで、そのアーキテクトも公開しています。
そして2023年から製造を開始しており、何気にXアカウントも開設しています。(投稿時点での最新日時が6月なのであまり更新されてませんが・・・)
アーキテクトは拡張性を重視した並列型で、D1というチップから自社で開発し、生産をTSMCに委託しています。
その処理性能ですが、上記アカウントでも公開している性能ロードマップを張り付けておきます。
印象的な表現を使うとCPUあたり「Exaフロップ」を超えています。
この数値がピンとこないとおもいますので、毎年恒例のスーパーコンピュータ性能ニュースも張っておきます。
「エクサ」は昔から人間の脳処理性能に匹敵する(現時点ではその理論的根拠は曖昧)という象徴的な単位でしたが、それを2022年に超えました。
そして、あくまで理論上ですが、DOJOもその単位を超えるスケールを実現する予定です。
さらにこの超高性能なDOJOは、他の流派(?)にも門戸を開放する可能性もあります。
ビジネス風にいえば、その学習基盤を外販する可能性もあります。
実際、このDOJOはTeslaの自動車だけでなく、Teslaの人型ロボットTesla Botにも活用しています。
その最新映像が公開されているので紹介します。
こちらもDOJO同様、東洋風な味付けですね。ただ、生身の自分自身もこの姿勢は難しいので、インパクトはあります。
どうも最近出た公式伝記を読む限り、イーロンは人型へのこだわりがあるようです。
個人的にはいまいち人型にする利点よくわかっていませんが(2足歩行は難易度が高いです)、競合も出てきておりこの市場もにぎわってきそうです。
いずれにせよ、Teslaという企業がこれから単なるEVメーカでなく、その脳にあたるAIを開発・提供する会社となる可能性も否定できません。