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宇宙の聖夜に輝く、パーカー・ソーラー・プローブの使命

今日はクリスマスイブですが、この日にとある偉業が達成されます。
それについて書いた記事がこちらです。

ようは、
太陽探査機パーラーが12/24に最も太陽に近づく、
というはなしです。

2018年打ち上げからの軌道をアニメーションにした図を上記記事内から貼っておきます。

この太陽探査機、正式名称はパーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)と呼びます。NASAとジョンズ・ホプキンズ大学応用物理学研究所が運用しており、太陽コロナに飛び込んで観測する史上初のミッションです。過去にも紹介したのでその記事を貼っておきます。

近づくということは、それだけ地球が受けるよりも高い太陽からのエネルギーを受けます。
そのために、この探査機には炭素繊維強化炭素複合材料製の耐熱シールドを正面に設置しており、約1400 ℃に耐えられる仕様です。

もう一つ忘れてはならないのは、太陽は惑星よりもスケールが大きいため、重力も無視できません。そのために、太陽に引っ張られずに離脱するため、その運航速度も史上最大のものが求められます。
具体的には、時速70万キロまで加速します。大きすぎてピンとこないと思いますが、これはロッキード・マーティンF-16戦闘機の最高速度の約300倍、またはライフルから発射された弾丸の約200倍の速さです。

なんとなく聖夜というロマンティックの真逆にある極限の環境が感じられたかと思います。

そこまでして何を目的にしているかというと、太陽コロナの調査です。
未だに太陽は謎な要素がのこっており、コロナと呼ばれる高温の外大気層のふるまいもその1つです。

この太陽コロナの振る舞いが時々異常反応を起こし、地球への地磁気を攪乱します。過去記事を貼っておきます。

上記記事にある通り、いわゆる宇宙天気予報は、地球の人工衛星の運用に重要な意味を持ってきます。今回の最接近によるデータは、単なる冒険ではなく人類全体にとっても意義がある偉業です。

太陽に近づく話といえば、イカロスの羽という神話を思い出します。

これは人類のテクノロジー批判としてよく使われますが、今回のイカロスの羽はむしろ人類を持続可能なものにする重要な役割ですね。

将来的にはこのパーラーもどこかで燃料が尽きて太陽に飲み込まれますが、だからこそ今最も輝いているこの勇気ある探査機に思いをはせてもいいですね。

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