生物と非生物を統合するシン・進化論が登場!?
物理法則は、非生物の自然現象を説明するために一般化しようとしているものです。
有名な例では、
・ニュートンがリンゴ落下から万物の運動を普遍的に説明する力学法則を考案(都市伝説ですが)
・アインシュタインが若いころ光と同じ速さで走ったらどうなるか?という思考実験から、ニュートン力学も包含した相対性理論を考案
などがあげられます。
一方で、生物学にも同じような試みはあり、有名なものを1つ挙げると、人類含めて全生物は突然変異で多様化・自然淘汰したことを唱えたダーウィンの進化論がそれに当てはまります。
これらは別々の理論としてみなされてますが、共通の法則を見出そうという野心的な仮説が、Science誌で提示されています。参照論文は2023年10月に提出され、こちらで閲覧できます。
結構重厚なテーマですが、思い切って要約します。興味ある方は是非上記から直接覗いてみてください。
提唱者は、宇宙生物学者のヘイゼン氏(Robert M. Hazen)とウォン氏(Michael L. Wong)が中心となっています。
彼らの問題意識は、非生物でも鉱物や星のように動的な変化を行うため、そこに生物との共通特性を見出しました。下記に列挙します。
・構成要素が多様である。
・新しい構成が生成される。
・機能に基づいた選択を受ける。
今回の野心的な理論は、上記を表現する「機能」を情報量で表すことを目指しています。あえて名付けると「機能情報増加の法則(記事ではlaw of increasing functional information)」といったところでしょうか。
今回は数式までは割愛しますが、意味合いとしては下記の3要素を数学で表現したものです。
1.構成要素の多様性
2.新しい構成の生成
3.選択と持続性
今回の論文では、下記を証拠例として挙げています。
鉱物進化: 鉱物の多様性と分布が惑星形成とともに増加。
生物進化: 自然選択により機能性が拡大。
タイタンの進化: 土星の衛星タイタンにおける有機化学反応による進化。
繰り返しですが、この理論は既存の物理法則や、進化論など生物学の理論も包含したものです。
応用例としては、それこそ提唱者の専門である宇宙生物学、つまり他惑星が生命のような存在を生み出されるかをどうかを定量的に測ることが出来るかもしれません。(おそらくそれも動機の1つでしょう)
もちろん既に生命、さらには人間という高度知的な生命体、が存在する地球の今後の未来をシミュレーションできる可能性も拓かれています。
宇宙誕生から現代までの通史を「ビッグ・ヒストリー」と呼び、その類の書籍も数多く発行されています。(ググってみてください)
ぜひ、今回の法則でビッグヒストリーを書き綴っていただきたいと思った共この頃です。
もう1つ、これは物理や生命科学分野でも言われ始めていますが、根っこにあるのが「情報」であることはとても示唆深いです。これについてはどこかでもう少し補足してみます。