未来の宇宙旅行:私たちの健康はどう変わる?
SpaceXをはじめとした民間企業の宇宙開発の進展で、民間人でも宇宙空間や他惑星に移動することが現実味を帯びてきました。
ただ、やはりまだ不安なのが人体への影響です。訓練を受けた宇宙飛行士によって今までもその調査は行われてきました。
過去の関連投稿を載せておきます。
この数年、民間人による宇宙旅行が始まってます。
この旅行は、数分という短いかつ近距離(100KM付近)なので、人体への不安はありません。
ただ、以前に前澤勇作氏も参加したISS(国際宇宙ステーション)への滞在になると、1週間程度500KM付近の(ほぼ)無重力空間に身をさらすことになるので、健康への影響は気になります。
といった背景で、こちらでその人体への影響に関する記事が投稿されています。元論文も載せておきます。
記事内から、宇宙空間に滞在することで人体に影響がある候補を列挙してみます。
宇宙放射線
無重力状態
免疫系のストレス
染色体のテロメアの長さ
筋萎縮(過去の研究に基づく言及)
骨量減少(過去の研究に基づく言及)
視力の変化(過去の研究に基づく言及)
宇宙放射線によるDNA損傷
遺伝子の転写への影響
女性と男性のリスクの違い(視力、免疫系、心臓血管リスク、がんリスク)
最後の10はまだサンプルが少なく性差があるかは未定、と触れていることも断っておきます。
従来から言及されていたものは、5-7ですが、今回気になったのは4のテロメアが長くなったことです。
テロメアは、染色体の末端にあるDNAの繰り返し配列のことです。テロメアは、細胞分裂のたびに短くなっていきます。
詳細について、過去に触れたので載せておきます。
今回それが長くなったということは、一見寿命が延びた!、と万歳しそうですが、長かろう良かろうとは一概に言えません。
詳細は上記過去記事にもふれてますが、伸びることによってガンへの悪影響も懸念されています。テーマが寿命なだけに、安易に体実験には踏み切れないので実際どうなのかは分かりません。
あとは、3にある免疫系への影響です。もう少し掘り下げると、T細胞などの直接的に関係するものもあれば、体内の微生物(細菌・ウイルス)の活動も影響がありそうです。
ただ、こういったサンプルが少なく個体差の影響も無視できないケースでは、よりパーソナライズされた分析が必要だ、という論調もあります。
そしてその手段としてAI(人工知能)をもっと使っていこう、とNature誌の記事では触れています。
今、地上でも医療のパーソナライズ化が求められていますが、まだ勃興期の宇宙医学においても既に必要な時期に来ているのかもしれませんね。
今回割愛したいくつかのテーマもあるので、どこかで改めて深堀してみたいと思います。