地球史を変えた二大理論:スノーボールとプレートテクトニクス
「京都賞」と呼ばれる、科学や技術、思想・芸術の分野に大きく貢献した方々に贈られる日本発の国際賞があります。稲森和夫氏が創立しました。
2024年は3名が受賞し、そのうち一人は過去にも触れました。
今回は二人目の紹介をします。地質学者のポール・F・ホフマン氏です。
受賞理由は、生命の進化に関係していた下記二つに関するものです。
1.スノーボール(全球凍結)
2.プレートテクトニクス
1は初めて本格的に提唱した人です。過去にも何度かふれたので載せておきます。
常識的に考えたら、一度地表が凍ってしまえば生物も絶滅して復活は難しいと想像します。
実際にホフマンが提唱した当時は大胆すぎてあまり注目されませんでした。
ホフマンは丹念にフィールド調査で地質を調査し、氷河堆積物の上に炭酸塩岩層が広く分布していることを明らかにし、いまでは定説として受け入れられています。
2の「プレートテクトニクス」理論は別の方が1967年に提唱しました。2023年に亡くなっています。過去に投稿した記事を載せておきます。
この理論も当時あまり相手にされなかったそうですが、それを肉付けしたのがホフマンです。
彼は、北極圏カナダでの詳細なフィールド調査を通じて、約20億年前に複数の大陸塊が衝突・合体して北米大陸の中核が形成されたことを実証しました。さらに、約25億年前から現在までに超大陸の形成と分裂が繰り返されてきたことを明らかにし、プレートテクトニクスの歴史が地球史の前半にまで遡ることを示しました。
もっといえば、スノーボール状態を引き起こしたのは、プレートテクトニクス理論による火山活動の停滞、そしてその逆によって融解したと考えられています。
この二つの壮大な理論が実は密接につながっていた!
改めて書くとすごいスケールの大きな理論を提唱していたことが感じられます。
ちなみに、ホフマンが最初に北米大陸が統合(United)されていたことを発表した論文のタイトルは、
「United Plates of America, The Birth of a Craton: Early Proterozoic Assembly and Growth of Laurentia」
です☺
はじめは(タイトルが理由かはわかりませんが)論文掲載を却下されたそうですが、結果として掲載されました。こちらで今でも閲覧できます。
このクール(?)なネーミングだけで、一気にどんな方なのか興味が湧きました。
当時ホフマン研究室に在籍していた方による、京都賞受賞を受けたコメントを抜粋します。
提唱理論だけでなくその提唱者もスケールが大きいことが伝わりますね☺
来年発足する新しい米国政権でどんな地殻変動が起こるか、ぜひホフマンの意見を聞いてみたいものです。
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