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ナイスステップな科学者の消滅危機言語を守る取り組み

年末年始になると、今年を振り返る記事が増えますね。そのなかで、こちらの記事が目に留まりました。

「ナイスステップな研究者」という響きが、お堅いイメージのある文科省団体に似つかわしくなく新鮮でした。発表資料から抜粋します。

〇加藤淳  国立研究開発法人 産業技術総合研究所 主任研究員
現場に根差す創作支援ツールのインタラクション研究

〇佐々田槙子  東京大学大学院数理科学研究科 教授
ミクロとマクロの世界をつなぐ数学 -非平衡統計力学の普遍的な理解を目指して

〇高本 聡  株式会社Preferred Networks
マテリアル&創薬 研究担当General Manager 機械学習と物質科学の融合による汎用原子シミュレーション

〇高山 和雄  京都大学iPS細胞研究所 講師
iPS 細胞やオルガノイド、臓器チップを用いた感染症研究

〇坪山 幸太郎  東京大学生産技術研究所 講師
人工タンパク質の合理設計法への挑戦

〇久富 隆史  信州大学アクア・リジェネレーション機構 教授
再生可能なグリーン水素製造用粉末光触媒の開発

〇平松 光太郎  九州大学大学院理学研究院化学部門 准教授
高速分光技術の開発と大規模細胞解析への応用

〇藤代 有絵子 理化学研究所創発物性科学研究センター(兼)開拓研究本部 極限量子固体物性理研ECL研究ユニット ユニットリーダー
極限環境で探るトポロジカル磁気相転移と電子物性の新展開

〇宮川 創  筑波大学 人文社会系 准教授 (西アジア文明研究センター専任) 国立国語研究所 研究系 客員准教授
最新テクノロジーを駆使したエジプト学およびアジア・アフリカの消滅危機にある言語の研究

上記発表資料

どれもそそりますが、あまり接点がなかったという意味で、最後の言語学の研究が気になりました。

古代言語をデジタル保存してAIで解読することで、消滅危機にある言語の保存と古代の解明に取り組んでいます。ここでのAIはやはり今の主流の深層学習を使っているとのこと。

古代文書をAIで解明しようとするプロジェクトは、以前にも紹介しました。

ただ、宮川氏は古代に限らず、現代日本での消滅危機言語(方言含む)のデジタルアーカイブにも取り組んでいるそうです。

確かに同じ言語でさえ、時間と空間が離れていれば通じないこともありますね。しかもその言語資源を国際的にオープンに共有できるような互換性のある仕組みも開発しています。

すっかりどの分野でもAIの活用が当たり前になった感があります。

どんなに進化してもAIはあくまで道具なので、今回のような「言語の時空間を保つ・繋ぐ」手段はよいモデルケースですね。

改めてナイスステップな皆様、受賞おめでとうございました。

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