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負の屈折率を実現した革命者、ジョン・ペンドリーの業績と来日

以前に、生物の透明化技術について紹介しました。

前回は、とある企業の取り組みを中心に紹介しましたが、この原理を開発した研究者が丁度今来日しています。

英国の理論物理学者ジョン・ペンドリー氏(Sir John Brian Pendry)です。

ペンドリー氏は、電磁波の波長よりも小さな微細構造体を設計することで、自然界には存在しない特異な電磁気的性質を持つ物質、いわゆる「メタマテリアル」が実現可能であることを理論的に示しました。

この理論は、負の屈折率を持つ「スーパーレンズ」や、物体を見えなくする「透明マント」など、革新的な材料の開発に道を開きました。

負の屈折率と聞いてもピンとこないと思います。よく見るのは下図の射角で表現されます。

Wiki「メタマテリアル」

通常は青→赤ですが、それが負の屈折率だと緑に移ります。

なかなか不可思議な動きです。

光が届く現象をもう少しミクロにみると、光は電磁波の一種であり、電場と磁場の相互作用で伝達されます。​​したがって、それぞれの場の度合いを表すε(イプシロン)とμ(ミュー)にも依存します。

それらの値を同時に負にする材料を理論的に発明した、というのがポイントです。

具体的には、微小な構造体の電磁波に対する共振状態を用いて、金属細線格子からなる材料で負の誘電率を、また非磁性導電体のリング状構造を持つ材料で負の透磁率を実現できることを、理論的に明らかにしました。
さらに、細線格子とリング状構造の両方で構成される材料では、負の誘電率と負の透磁率の同時に達成できることを示しました。

一応補足しておくと、この負の屈折率のアイデア自体は、1968年にロシアの物理学者ヴィクトル・ヴェセラゴ(Victor Veselago)によって初めて理論的に提唱されました。それをより現実的な材料として具現化出来ることを示したがペンドリーです。

2000年に発表されたこちらの論文は、業界では話題になったようです。

今回の来日背景ですが、これらの業績が評価されて2024年の京都賞を受賞し、その記念講演が11/11に京都で行われます。

京都賞は過去にも少しだけ紹介したので参考までに載せておきます。

京都賞公式サイトで、ペンドリー氏の業績を紹介したサイトもあったので貼っておきます。

あいにく、今回の来日講演事前受け付けは終了していますが、後日下記の公式Youtubeチャンネルで公開予定です。

その際に改めてペンドリー氏含めた3名の講演を楽しもうと思います。

他の2名についてもまたどこかで調べて紹介したいと思います。

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