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科学とAIの新時代:AI Scientistが拓く未来

以前に、AIが数学オリンピックのメダリスト級のスコアを出した話を取り上げました。

これで数学的推論(分野によっても異なる)能力が、人間のトップクラスに迫ることが示されました。

ただ、うがっていえば、数学は問題をパズルのように解くだけでなく、問題を発見するところからで、むしろ専門になるとそちらの能力が問われます。

これは数学に関わらず自然科学全般にも当てはまります。その能力がないと、科学者に迫ったとは言えません。

というフリを敢えて効かせましたが、まさにその能力に迫る最新のAIが話題を呼んでいます。

名前はストレートに「AI Scientist」と名付けられています。

著書は、Sakana AIという日本企業に属しています。

創立者の一人はTransformerの論文共著でもあります。この技法は今の生成AI(またはその主要技術のLLM(大規模言語モデル))の根幹技術と言っても過言ではありません。

この著書たちはそれぞれが活躍し、その一人が今回の論文の立役者です。

何ができるかというと、文字通り科学者が論文を創り、それを査定する一連の流れをAIで処理することができます。具体的には下記のフローを一人何役にもわたってこなします。

・研究アイデアを創造する
・それを検証する実験方法を考え出す
・実験を実行して結果を可視化する
・論文を書く
・査読をする

出所:Sakana AIの公式サイト

このAIで使われている要素技術は、上記のTransformerに加えて、拡散モデルと学習ダイナミクス(またはグロッキング。学習フィードバックの方法)です。いずれも深層学習をさらに深化させてきた手法です。

1つの論文が出来上がるまでのコストは15ドル未満と見積もっています。

価格も桁違い(少なくとも科学者数人月の工数は要する作業)ですね。

著者によれば、このアウトプットされた論文自体を、また別のAI査読に流したところ、トップクラスの機械学習会議の採択基準を超える基準に達したそうです。

ただ、現行の限界点も指摘しており、アイデアの探索範囲がまだ限定されているそうです。

このAIで実際につくられた論文例は、こちらで見ることができます。
ようは、「拡散モデルを応用して、全体と部分を同時にとらえるための新しい重みづけアプローチ」を提案しているようです。アイデアの発想含めて、微塵もAIらしさは感じませんでした。(本職の方が気づくのかはテストしてみたいですね)

オープンソースとして公開もしているので、おそらくは関係者はそれぞれの分野で試すのではないでしょうか。

これによって科学の世界で何が起こるのかがまだ想像できませんが、少なくともAIが基礎科学の領域にさらに踏み込んだことは間違いないです。

もう一つは、改めてTransformer論文著者の影響力について考えさせられました。以前からうっすらと感じていましたが、この分野は一握りの天才たちによって動いています。
となると、他の著者たちの活躍にも興味がわいてきたので、どこかで調べてみたいと思います。

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