見出し画像

テレグラムから量子通信へ:通信技術の進化

通信アプリ「テレグラム」のCEOがフランスで逮捕され話題を呼んでいます。(保証金に約8億円を要するとのこと。ちなみに国籍はフランスだったようですね)

仕組みを作った人と、その枠で生じる犯罪への責任、という構造は以前にもありました。個人的に記憶に新しいのは、PeerToPeer通信を可能にしたWinny開発者「金子勇」の事件、これは映画にもなりました。

この賛否両論渦巻くテレグラムですが、既に9億人以上のユーザがいます。

単に送受信データが一定期間後に消えるだけでなく、自社開発の独自プロトコル(MTProto)で、通信を傍受されない安全性が売りです。

実は今、量子力学の原理を使った消えるメッセージ通信が考案されています。紹介記事はこちら。

まず、量子通信は以前より研究されており、これも安全性が期待されています。ざっくり原理を言えば、傍受することでそのメッセージを変換(エンコード)する量子状態が破壊されます。これは物理法則なので原理的に傍受が難しいわけです。

その仕組みに加えて、特殊材料(メタサーフェス)を使って通信メッセージを制御することを可能にしたのが今回の新たな試みです。

少々入り組んでいるので、上記記事からそのレシピを箇条書きにしておきます。

  • 光子の生成: レーザーを使用して、量子もつれによって密接に結びついた2つの光子を特殊な結晶から放出します。

  • 光子の経路の分岐: 2つの光子は別々の経路を進みます。

  • 特殊材料との接触: 1つの光子がナノサイズの凸凹を設計した特殊材料に衝突します。

  • ホログラフィック画像のエンコード: 特殊材料が光子の量子状態を変更し、ホログラフィック画像に変換します。

  • 偏光フィルターの使用: もう1つの光子が偏光フィルターに遭遇します。このフィルターによって、ホログラムのどの部分が現れるか、どの部分が消えるかが制御されます。

  • ホログラムの重ね合わせ: 最初の光子の状態がホログラムの重ね合わせとなり、同時に複数のメッセージバリエーションが含まれます。

  • 偏光による画像制御: 光子がエンタングルメント状態にあるため、2つ目の光子の偏光によって、画像表示機器に衝突したときにもう1つの光子が作成する画像が変化します。

  • 結果の確認: 例えば、テストホログラムでは、特定の偏光フィルターを使うと、選択した文字を最終画像から消去することができます。

この量子ホログラム技術は、従来から大型装置を使っての試みはあったようです。ただ、今回はナノレベルの特殊素材を使うことで、相当コンパクト化に成功しています。

ミクロな世界をより具体的かつ簡単な設備で可視化できる未来が垣間見えてきました。


いいなと思ったら応援しよう!