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夢の常温超伝導体競争が熱すぎる件

「超伝導体」は、今から100年以上前に発見された物理現象です。

ざっくりいうと、ある物質を極低温にすると急に電気抵抗がゼロに近づくものです。電磁気学だけでは説明つかず、量子力学の理論で説明可能になりました。このあたりも量子力学が正しい証拠にもなっています。

興味ある方は、その代表的な「ジョセフソン効果」を参照ください。

電気抵抗がゼロに近づくことは、エネルギー損失を防げることを意味し、効率的に電気または磁力を届けることができます。
この表現だけでも、相当なインパクトがあることが感じられますね。

ただ、超伝導体にする「極低温」条件が結構ハードルが高く、よく聞くのは液体窒素を使って-200度ぐらいにするケースです。

そのため相当な設備とお金が必要で、なかなか日常では目にしません。
あえていえば、磁気共鳴で体内を検査するMRIは超伝導の原理で磁気を生じさせるタイプもあります。
そのほかでは、日本でも建設が進んでいるリニアモーターカーです。

この一番のハードル「極低温」を常温でも実現できると、前述のとおり相当革命的な出来事です。

そして最近、審査前に研究成果を共有するサイト(arXiv)に、室温でも作用する夢の超伝導物質を発明したという論文が、韓国の研究グループによって発表されました。その反応にも触れたサイトを引用しておきます。

ようは、
鉛アパタイト (LK-99と呼称)で100度以上の温度でも超伝導現象を確認した、
という話です。(タイトル画像も上記記事内の画像より引用)

普通に聞くと大騒ぎですが、実はその数年前にも別のグループが(今回と別の方法で)常温超伝導体を発見したという研究発表をおこなっていました。
ところがその実験データの信ぴょう性があやしいということで、一旦掲載許可したNature誌が撤回する、という騒動が2022年に起こったばかりでした。
が、2023年になってまた話が一転して、再現を確かめたいう声もあがっています。

このあたりの経緯は、日本語で分かりやすい記事を見つけたので紹介します。なかなか興味深いストーリーなのでおすすめです。

このグループは、ルテチウム、水素、窒素 (Lu-H-N) で作られた新しい材料で、韓国グループとは全く別の研究です。

今回の韓国グループの研究方法も、他グループが検証に進むと思います。

くどい様ですが実現出来たら革命的な出来事で、ノーベル賞も間違いないレベルです。

つまり、この2つの同時性の高い常温超伝導体競争は、常温よりもずっと高いデッドヒートを迎えているといえます。

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