プレートテクトニクスと生命誕生
地殻移動を意味する「プレートテクトニクス」が、地球の生命誕生に思った以上に寄与していたかもしれない、という記事を見かけました。
プレートテクトニクスは、以前にも同じ文脈(生命誕生の必要要素)で、地球外生命体探索で有名なドレイク方程式に追加提案されたこともあります。その時に紹介した過去記事を載せておきます。
少なくとも、多細胞生物が複雑になってからは、地殻移動が生命進化に貢献したのでは、という話はよく知られています。
たとえば下記記事によれば、プレートテクトニクスの活動がシーラカンスの進化速度と関連付けられています。
他にも、大火山で絶滅の危機に瀕した時に、地殻流動させることで地球環境をならして救ったかもしれない、という仮説もあります。
この地殻(プレート)移動ですが、意外なことにいつどのように始まったのかはまだ定説はないそうです。
従来説では、
・多細胞生物がすでに存在していたわずか7億年前に始まった
・もっと前の単細胞生物だけが支配していた頃
いずれにせよ、生命誕生以降と考える人が多かったです。
ところが新説では、生命誕生前(原始生命は40-30億年前と推定)に起こっていたのでは?と主張する科学者も出てきました。
上記の従来説にある「7億年前」ですが、単に過去の岩石にその移動を示す証拠が見つかった最古のデータにすぎません。
現在地表にある岩石のうち、25億年以上前のものは7%未満です。
40億3千万年前(冥王代と呼ばれます)まで遡ると、岩石の記録は完全に消えています。つまり、地球の誕生から最初の5億年間は、玄武岩のかけらも残っていません。
岩石の証拠がない状態から、どのように推定できるのか?
約30億年前には、(地殻下の)マントルから直接岩石が形成されるのではなく、溶けて再形成された地殻の量が増えた兆候を化学分析で見出しました。
さらに、約38億年前には、地球最古の鉱物の化学的変化から、安定した長寿命の地殻から寿命の短い、より現代風の地殻への変化が考えられるようです。つまり、なにがしかの地殻の沈み込みを示しているのではないか、と考えています。
そもそも生命に必須の「海」も、44億年前には存在していたことは分かっており、これも地殻循環が貢献した可能性も指摘されています。
現時点で観測された惑星で唯一プレートテクトニクスが起こっている地球、だてにオンリーワンでなく、それこそが生命誕生の必要条件だったのかもしれません。
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