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ダヴィンチの科学力がさらに増す

レオナルド・ダ・ヴィンチは、誰もが知る中世の天才です。おそらく一般的には「モナリザ」など芸術面での評価が知られていると思います。(タイトル画像はWiki掲載の自画像)

近年では、有名な伝記作家アイザックソンがダヴィンチの伝記を出版していますが、こちらの10章に「科学者レオナルド」があり、以降も科学系の話が続きます。

ダ・ヴィンチは芸術をある意味科学した人といってもいいかもしれません。
そんな彼が、科学の分野で最近新しく発見したかもしれない新事実が分かったようです。

ようは、
ニュートンよりも先に、重力が加速度を引き起こしそれを紐づける定数を数学的に高い精度で計算していた、
という話です。

万有引力はニュートンが1665年ごろに構想したとされています。正式に書物として発表されたのが1687年の「プリンキピア」ですが、それでもダヴィンチの150年後です。

高い精度と書きましたが、重力定数を導くための数学的な表現がニュートンのそれとは異なっているようです。(今でもニュートンの式は近似的には正しいとされています)
ただ、実験の範囲内では97%の精度というので、その定式化だけもこの時代としてはある意味凄いと思います。

上記で「近似的」と書いた通り、ニュートンの数式は200年以上未来に誕生したアインシュタインによってさらに精緻化されます。

それが特殊/一般相対性理論で、時空を絶対的なものから相対的なものと再定義することで、より精緻化します。「特殊」は等速度運動、「一般」は加速度運動で適用されます。
使われるシーンですが、例えば天体間のような超マクロにおいては相対性理論が使われ、日常生活でもGPS計算ではこの理論で補正されます。

と、少々口説くなりましたが、もう1つ、彼の手記にアインシュタインの一般相対性理論の要となる「等価原理」を匂わせる表現があることです。

ざっくりいうと、ニュートンの式で定義される質量(慣性質量)と重力から導かれる質量(重力質量)は等価である、というアイデアです。
これはアインシュタイン自身が「人生最高のひらめき」といったことで知られたものです。

よく例えられるのが、外を見れないエレベータにいる人が加速度を感じないときです。
これが(重力のない)宇宙空間にいるのか、それとも地上で自由落下をしているのかが分からない、ということです。もうちょい言えば、自由落下によって発生した加速度は重力をキャンセルできるということです。

この20世紀初頭に行われた科学史に残る大発見まで実はダ・ヴィンチが果たしていたとすれば、驚嘆すべきことです。

最後に冒頭に紹介したダヴィンチの伝記より一説を引用して締めておきます。

真のクリエイティビティには観察と想像を結びつけ、現実と空想の境界をぼかしていく能力が必要である。その両方を描くのが偉大な画家である、レオナルドは語っている。

出所:アイザックソン著「レオナルド・ダ・ヴィンチ」17章


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