IITとIUTに広がるモヤモヤした論争
以前、意識を科学的に取り扱おうとする取り組みの1つでIIT(integrated information theory:統合情報理論)を紹介しました。
投稿後にこんな記事を見かけたので、差分トピックとして掘り下げたいと思います。(タイトル画像もここから引用)
ようは、
意識理論は科学ではないとするという書簡が出たので、それに対して異を唱える、
という話です。
こちらでその書簡を見ることができます。専門家が署名しているというところであまり流せそうになりです。
上記記事によると、主要理論の中でも特にIITは疑似科学だ、と批判的です。(こちら)
IITの基礎的な説明は冒頭の過去投稿に書いたので割愛しますが、ざっくり論点を絞ると、
「ネットワークの接続度合いで意識を定義しようとした」
という点です。
勿論仮説であり、そもそもとして、以前の投稿でもふれましたが「意識」自体の定義が我々の主観的体験以上に規定されてない以上、どうしても議論はぐらつきます。(まだその成り立ちが似ているAIのほうが局所的な能力コンテストがあるので判断がつきやすい)
特に気になるのが、なぜかIITだけ攻撃が激しいです。
「疑似科学」、つまり、科学的に裏付けられておらず、すでに科学的に確立されているかのように装っているもの、と言いたいようです。
1つも裏付けられていないのなら納得できますが、すでにIITに関する実証研究(勿論それをして証明まではいきませんが)は100を超えており(上記記事内)、サポートするものもあります。
なのに、なぜそこまで特定の理論に声を荒げるのかがよく分からないです。
好意的にその書簡を読み解くと、その報道のされ方に問題があるようです。
書簡の結論部を抜粋します。
細かくは裏付けの取りようがないですが、この書簡(および署名した専門家群)の方からはそう見えているようです。
個人的には、一見一理あるような気もしましたが、科学を専門とする方々のコメントとしては、その矛先がやや違うかなと感じました。
あくまで「科学的な批判(実証実験が理論に全くそぐわない、等)」にしないと、非専門家が二次的にこういった情報に触れると、そう勘違いします。
似ているなぁと感じたのが、以前ご紹介した「IUT(宇宙際タイヒミュラー理論)」の位置づけです。
ざっくり書くと、望月教授が打ち立てたIUTという理論が、数学としての論争ではなく、ある権威的な専門家の声に同調的(!)な空気が広がり、不当に封殺されかかっている、という状況です。
共通の主張は
「専門家は科学(または数学)のルールに則って議論してほしい」
ということです。
この数年に世界中で蔓延した疫病騒動でも痛感しましたが、非専門家はどうしても専門家の声にある程度頼らざるをえないです。
特にこの2つのように新たな分野を開拓する理論であればなおさら、日常生活でよくあるような、情緒や空気でなく、公平・公正な議論が行われることを切に望みます。
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