(ロボット工学×遺伝子×ナノ)技術で指数関数的成長へ
なかなか面白いニュースが流れています。「匠」のイメージがある日本っぽいとでもいいましょうか。
要は、iPS細胞培養など単純作業をロボに任せて、いずれは工程も考えられるAIを開発して科学的発見へつながる、って話です。
単純作業の代行は以前より日本企業でも、FA(ファクトリーオートメーション)、事務作業なら「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」と称して導入が進んでおり、その研究者版を連想しました。
どの程度が単純作業なのかは分かりませんが、それで創発的な時間が確保できるならとても意義のある取り組みだと思います。
個人的に気になったのは、実は今後の「AIが工程まで考えて発見を後押し」する構想です。
実はこれは数学の分野で近いチャレンジがあり、2021年末に関係者の間では話題になりました。
タイトルだけ見るとすごい発見的な行為をAIが行うと勘違いするかもしれませんが、「パターンの自動生成とその相関性」を手あたり次第にAIがトライ&エラーして、面白そうな結果を数学者が引き取って定式化する、という協働作業です。
実際に原文の英科学雑誌Natureでは、その結果数学基礎理論で新しい定理を発見した成果も添えられています。
数学者と”DeepMind”というAIベンチャーの研究ですが、あのGoogle(現Alphabet)が買収した天才集団です。
元々はレトロゲーム(アルカノイドとか)や囲碁の学習から、科学的な成果も出しつつあります。
生命科学の分野では2021年に、また偉業を達成しました。
あらゆる細胞は、4種類の塩基(ATGC)から構成され、既にヒト含む主要な生物の大まかな塩基解析は21世紀の初めに完了しています。
ただし、それが全ての器官を理解したことにならず、それらが集まって3次元にどう構成されるかが難病の1要因とされています。
DeepMindは、その難解な3次元解析をAIを使って原子レベル(ナノよりもう少し細かい精度)まで近似することに成功しました。
これによって人類が抱える難病克服へ一歩近づいたといえます。
話をこじつけますが、冒頭の記事含めて出てきた技術分類を列挙します。
ロボット工学
遺伝子工学
ナノ技術
この3つを並べると、ある有名な書籍を思い浮かべます。
投稿現在でもGoogleで未来技術の研究を担っている”レイ・カーツワイル”が著した「ポスト・ヒューマン」です。
500ページを超える大著かつ難解なので、積読率が高い本です^^
この本で使われた「シンギュラリティ」という言葉がビジネス界においてもはやったといっても過言ではないです。
(カーツワイルはこの言葉の伝道師で名付け親ではないですが)
この書籍では、まさに上記3つの技術が絡み合っていつか人類の知能を超えるシンギュラリティに到達し、人類を次のステージに連れていくと唱えています。
これだけ聞くと引くかもしれませんが、カーツワイルは高名な科学発明家であのOCR(光学読み取り機)も彼が考案したものです。
本書でも「有名な経験則」を使って論理的な下地を元に、自由闊達に構想しています。
その経験則というのが技術進化が「指数関数的」成長を見せているという事実です。要は年に20%増加でなく、倍々で伸びていく流れです。
なかなか肌感として分かりにくいかもしれませんが、例えばスマホもiPhoneの発表は2007年で、何気に最近の出来事です。
あっという間に普及しましたし、その普及時間が加速度的に早まっているといえばちょっとはリアリティを感じませんか?
ちょっと話が指数関数的に飛躍したので、ここまでにしておきます。
いずれにしても、ロボットは単に人間の仕事を奪う代替案だけでなく、共に創発的な活動を担えるパートナーにもなりえますね。