生物と機械を融合したコンピュータ開発に成功
人によってはギョッとするかもしれませんが、「半生物学的コンピュータ」の開発に成功したニュースが流れています。
ようは、
マウスの脳細胞と電極素子を組み合わせたコンピュータチップ(演算装置)の開発に成功し、知覚力のようなものを獲得した、
という話です。
上記図内にある実際のチップを引用しておきます。
全体がお皿のような形状で、”DishBrain”と名付けられています。(記事内では名称の由来は触れてないですが多分そこからでしょう)
真ん中に見える円状の素子が中核となる微小電極アレイです。指揮官のようなイメージで、ここに人工的に培養した脳細胞80万個を接続したのが今回の一番大きな特徴です。
念のため、基本的なことを添えておくと、我々の脳内では脳細胞(ニューロン)間の電気信号の集まりです。機能だけでみると電気信号で情報をやりとりするアナログコンピュータともみれます。
したがって、理論的には人工的に電気を制御する機器と脳細胞を連結させても機能するわけです。
その技術の総称がBMI(Brain Machine Interface)で、過去投稿を1つだけ引用しておきます。
今回の開発では、単に電気信号の連結に成功しただけでなく、その脳細胞を成長させて基本的な知能に近いことをさせています。
具体的には、Pongという昔流行った(らしい)ゲームを操作させることに成功します。
日本のゲームに例えると、エアーホッケーが近いと思います。
当然はじめはルール(ボールにあてる)が分かりません。そこで、ボールに当たらないときに、この脳細胞に予測不可能な刺激を4秒間ほど与えます。
「脳細胞がある程度集まった状態では予測不可能性を最小限にする」という性質を使って学習させようという意図です。
AIの世界でよく言われる「報酬」を与えるイメージに近いと思います。(強化学習という言葉でも構いません)
結果としては、学習効果が見込められたそうです。
これが従来のソフトウェアだけのAIと異なるのは、その脳細胞というハードウェア(コンピュータでいうCPU・メモリといったリソース)自体も成長(増殖)させることができる点です。
冒頭記事では自動運転・ロボット・ドローンへの応用が期待されているようで、確かに外部環境への順応性を考えるとしっくりきます。
生物と機械が融合していく未来予想で有名なものに「シンギュラリティ」があります。過去投稿を引用しておきます。
従来の半導体を大きく変える可能性を秘めたこの研究、今後広義のコンピュータチップでメインディッシュになる日がくるかもしれません。