中国の天女が遂に月の秘境から宝物を持ち帰る旅へ
昨年から、官民で月の資源開発の動きが活発に進んでいます。
2024年の主要な動向は過去に紹介しました。
官でトップバッターにあげた日本の月面探査船SLIMは、想定以上のバッテリ性能を示しました。既に地球に送信されたデータ結果が今から楽しみです。
そして5月3日、データではなく月から実際のサンプルを持って帰る中国の「嫦娥計画」が大きなチェックポイントを迎えました。
投稿時点では無事に月への運航を続けており、2か月弱のミッションを終えてサンプルを地球に持ち帰ります。
しかも、注目されているのは、今回が史上初の月面裏からのサンプルリターンという点です。
そこに資源が眠っている地点がいくつかあり、その1つの南極エイトケン盆地にあるアポロ・クレーター付近に着陸予定です。
今まで達成されなかったのは、モチベーションもありますが(アポロ時代は軍拡競争)、技術的にも裏側に到着するのが難しかった背景もあります。
シンプルに言うと、裏側だと地球との電波通信が届かないので、月面を周回する中継衛星経由となります。
中国はその中継衛星を介して過去にも月面裏への着陸を達成し、2024年4月にその後継となる中継衛星もあげています。
この嫦娥ですが、日本語の語感としてはなんとなく虫の響きがあります。
が、中国語としてはむしろ逆で、あえて近い日本語を使うなら「天女」です。一応Wikiを載せておきます。
地上に下りて月に戻ったところだけ見るとかぐや姫を彷彿とさせますが、最後は・・・ですね。ただ、日本でも風物詩となった「月見」がそのお供え物という説もあるので、影響力のあるお話です。
あとは、成果ですね。果たしてどんな資源がサンプルに眠っているのか?
冒頭記事にも書きましたが、表側のサンプルリターンを達成した嫦娥4号では、アポロ計画で持ち帰ったそれと異なる発見をしました。
ようは、
核融合反応の材料ともなるヘリウム3という元素が思ったより眠っていた、
という話です。
核融合反応は、今はその基礎的な研究に注目が集まっていますが、原料調達も大きな課題です。過去記事を参考までに載せておきます。
我々から常に背を向けている月の裏側では、いったいどんな資源が眠っているのか、過程も含めてその成果に期待したいところです。