未来のコンピューターに光あれ!
コンピュータの急速なニーズを受けて半導体競争がヒートアップしており、日本も次世代半導体開発を目指しています。
なんとなくGPU(ディープラーニングと相性がいい演算処理)に強いNVIDIAが目立ちますが、元々王者として君臨していたのはintelです。
2023年の3月に、その創設者ゴードン・ムーアが亡くなりました。
同社は公式サイトでも、ムーアに関する情報を発信しており、下記で集約しています。
そのintelですが、今時点では業績として厳しい状態にあります。
上記記事にあるとおり、2021年に新CEOに就任したパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)は、IDM 2.0(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型デバイスメーカー)という戦略で従来の事業構造を改革中です。
そしてintelは、現行のニーズ対応だけでなく、未来のコンピュータ素子として、光を使った演算回路も研究しています。
演算回路だけでなく、光ファイバーのような通信としても含めています。日本ではNTTが力を入れています。
今のデジタルコンピュータは、電子(電気)をトランジスタに流してOn/Offスイッチ、つまり2進数を表現します。
それらを集積させて、それこそムーアの法則に従って数年で2倍の密度を実現しています。
参考までに、ムーアの法則を引用しておきます。現時点でもこの経験則は崩れていません。(加速度は若干ぶれがありますが)
光を使った演算回路は、この電子を光に置き換えたもので、言ってしまえば「光トランジスタ」の開発です。
光を採用する利点としては、電子は運動によって熱を発生しますが、それを抑えることが出来ます。要はエコということです。
ただ、処理性能としては実用化には至っていません。(公開情報範囲内で)
例えば、現行の次世代半導体(電子型)が目指しているのは回路幅5nm(ナノメートル)未満、つまり10のマイナス9乗のスケールです。
トランジスタに相当する素材は、フォトニック結晶と呼ばれます。ざっくりいうと、特定の光のみに反応するイメージです。
ただ、これをナノメートルまで制御できるようにするにはなかなか至難の業でした
数年前に、そのブレークスルーになるかもしれない研究成果が発表されています。
ようは、
DNAを接着剤にして従来では難しかった巨大な結晶化を実現した、
という話です。
生物の自然な現象を巧みに活用した、なかなかぞくっとする成果です。
この夢のような光コンピュータが実用化に至る日を心待ちにしています。