最古のブラックホール記録を更新
以前より、ブラックホールの新しい発見については何度か紹介しました。
いずれもJWST(ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡)の観測からの発見です。
そしてまた同じ望遠鏡から最古レコードを更新しました。
ようは、
宇宙創成後わずか4.4億年後のブラックホールを発見した、
という話です。(前回のレコードは5.7億年後)
場所は、幼生銀河 GN-z11 。その中心に超大質量ブラック ホールを発見しました。
この銀河は以前ファーストスター、つまり初めに生まれた世代の天体とかんがえられており、つい近年に天体の集合である銀河あることが判明しました。(それでJWSTでの観測対象にもなりました)
こういった見直しは過去にも起こっており、例えば銀河だと思っていたらブラックホールだった、という報告もあります。
それで、今回のブラックホール最古レコード更新で、改めて謎が突き付けられます。
現代では、ブラックホールは天体が寿命を終えた死の形態としてとらえています。
例えば、我々にとって一番馴染みの太陽の寿命は約100億年です。(人間に例えると今中年ぐらい)
つまり、100億年たたないとブラックホールにはなりえないわけです。
それがわずか5億年後にみつかったので、そもそも論が疑われるのは当然でしょう。
なお、今の天体の寿命は100億年ですが、宇宙初期のファーストスターの寿命はもっと若いと推測されています。
もっといえば、宇宙初期は今よりもさらに軽い元素(水素、ヘリウム)だけしかなくそれだけ新陳代謝(擬人)が活発だったと想像できます。
そして冒頭での記事も、そこからの手がかりを追っています。
今回発見された宇宙初期のブラックホールは、巨大なガス雲や星の固まりなどの合体によって生じたという説です。
重元素になる前段階なので、従来の流れから若干飛び出した仮説です。星の死後どころか、星が生まれる前段階の物質が合体して誕生したというイメージです。
しかも、今回発見されたのは太陽よりはるかに重い中ボスのブラックホールです。
天体になる前段階で合体された数も、相当なボリュームだったと考えらえます。
そんなことが本当に可能だったのか?
その実現シナリオとして、原始ブラックホールからエネルギーを照射することで天体になることを防いだ、という考えを導入しています。
個人的にはここが見どころだと思います。
原始ブラックホールとは、名前の通り宇宙初期に生まれたブラックホールです。
宇宙初期のゆらぎによって誕生したもので、過去にちらっと紹介した記事をのせておきます。
原始ブラックホールは上記記事にも書いている通り、すばる望遠鏡などでその存在を検証しようとしています。
物質が集まって天体にならないように、このブラックホールがエネルギーによって刺激を与え、そのガス状のものが寄り添って最古のブラックホール(原始ブラックホールは特殊なのでカウントにいれません)を産んだのでは?
という、奇妙な構図ですが消去法では一番しっくりきます。
いよいよ謎が深まるブラックホールですが、この研究を通じて宇宙誕生の謎が解明される可能性もあるので、引き続きウォッチし続けたいと思います。
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