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宇宙の謎に挑む:反物質の実験がダークマター解明に貢献

宇宙にはいくつかの大きな謎があり、代表的なものは下記3つです。
1.謎の引力をもたらすダークマターの正体は?
2.なぜ反物質は現在の宇宙では存在しない?
3.ダークエネルギーの発生由来は?

このうち、
2の反物質の実験結果で1に貢献できる、
というなかなかスリリングな実験結果が発表されました。下記の記事です。

ウランなど重元素を衝突させたときに発生する素粒子を観察する実験です。

どのように素粒子を特定するかといえば、磁場で満たされた空間をくぐらせると、その素粒子が電気を帯びているとバナナカーブのように曲線を描き、その軌跡から推理するというわけです。

反物質とは、物質と反対の電荷をもったものです。(あとは同じ)つまり、この磁場のシャワーを浴びると通常物質と真逆の動きをするのですぐにわかるわけです。この(電荷以外)物質にうり二つの反物質が、なぜか天然には存在しません。過去の関連投稿を参考までに載せておきます。

今回の実験では、ハイパー核と呼ばれる珍しい反物質の生成に成功しました。ざっくりいえば、原子核を構成する陽子と中性子のうち、後者をハイペロン(中性子より少し重いバージョン)で置き換えられたものです。

いったいこのレアキャラ検出で何が嬉しいのか?

一旦ここでとめて、ダークマターの話に移ります。

ダークマターは仮説は色々出ていますが、まだ検出に成功した人はいません。そもそもこれが単一の素粒子かどうかも分かっておらず、複数のダークマター粒子という案も提出されています。

その案では、2種類のダークマターが衝突すると、消滅して物質と反物質の爆発が発生すると予測されています。具体的には水素とヘリウムの反物質が発生すると考えられており、実際にISS(国際宇宙ステーション)でそれを監視中です。

この装置はアルファ磁気分光計と呼ばれ、公式サイトによると4847日も監視を続けています。(投稿時点)

ここで先ほどの実験に戻ります。

今回のレアな反物質検出結果を通じて、通常の物質の衝突からどれだけ反物質が生成されたかを予測することが出来ます。もう少し言えば、元々の理論でレアキャラ生成割合が導出できるのですが、今回の結果でそれが裏付けらた形となります。

つまり、ISSでもし将来的に反物質が検出された際に、それが通常物質なのか、それともダークマター衝突由来なのかを判別することができるというわけです。

反物質が発見されたのは1932年で、まもなく100周年を迎えます。

冒頭の実験はSTARと呼ばれます。まさに宇宙の謎を解明するスターとして、100年を待たず世紀の大発見に期待したいところです。

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