見出し画像

ブラックホールのミッシングリンク:天の川銀河で新たな発見

科学の世界では、「ミッシングリンク」が何度か登場します。

比較的有名なのは、猿が人間になる中間の存在です。ほかにも、生物が飛躍的に複雑になったり多様化する過程でも、同じような存在があるのでは?というミステリーは楽しめます。

というように、生物学で多用される言葉でしたが、今回は
「ブラックホールのミッシングリンク」
について紹介します。

普通のブラックホールは、天体の死の最終形態と考えられています。
例えば太陽は核融合反応でエネルギーを放出してますが、あと50億年でその反応が衰えてきます。
もし太陽よりもはるかに重い天体の場合、核融合反応による斥力よりも重力が上回ることで自重崩壊し、さらにある閾値を超えると死の形態として「ブラックホール」として認定されます。

この閾値を研究した科学者の一人が、映画で話題の「オッペンハイマー」だったりします。

そのミッシングリンクですが、実はブラックホールも質量のスケールで小中大に分類されます。大体の尺度は下図のとおりです。(ぶれますが)

このうち、今まで見つかっているのはほとんど小と大ばかりです。

例えば天の川銀河の中心にもブラックホールは見つかっており、これは太陽の370万倍で「大」に属します。(SgrA*と呼ばれます)

この大ブラックホール(細かくは大質量ブラックホール)の起源が、合体を繰り返すことで段階的に生成されていくのではないか?と考えられています。

なのに「中」がみつからない。これがブラックホールのミッシングリンクです。

そしてついに、「中型」と思われるブラックホールが発見されたので、その記事を紹介します。

ようは、
天の川銀河中心近傍に中型ブラックホールがあって中心の大型ブラックホールの成長を支えているかもしれない、
というはなしです。


中心からわずか0.1光年にあるIRS13星団の中心にその存在が確認されました。

この星団は25年前から存在は確認されており、初めは大ブラックホールと考えられてきました。
後年、小さな星団の集まりであることが分かり、今回これらの星団集団が銀河中央の大サイズのブラックホールに飲み込まれないためには、中心に中型サイズが必要、ということで今回の発表に至りました。

今回は、従来よりも高解像度のデータからコンピュータシミュレーションで割り出されたそうです。

ついに天体の人気者ブラックホールの進化の謎が解き明かされていくかもしれません。あいにくお空を見上げても目視できないので、人工的なディスプレイ経由でこの進展にも注目してください☺


いいなと思ったら応援しよう!