UFO(未確認飛行物体)と科学
どうも最近本気か遊びか分かりませんが、UFOが盛り上がってます。
アメリカで、公聴会という文字通り公(おおやけ)な場でUFOに関する公聴会が開かれたという本当の話です。
ちなみに、UFO=Unidentified Flying Objectsの略で、直訳して未確認飛行物体です。
何が言いたいかというと、UFO→宇宙人が載った飛行船、ではないということです。
今は分かりませんが、昔はそんな連想がはびこっていたと思います。
正直今の時代はいろんなドローンや空飛ぶ飛行機が出回りだしたので、UFOに対する興味は個人的にはあまりないです。
ただ、せっかく話題になっているので、科学的なトピックも添えてその歴史を振り返ってみようかなと思います。
はじまりは意外に若く、1947年に起こったとある事件から始まります。
その名も「ケネス・アーノルド事件」。
米国実業家のアーノルド(上図)さんが、自家用機で飛行中に超高速で飛ぶ9機の奇妙な物体に遭遇し、このときに地元紙が名付けたのが「空飛ぶ円盤」で、今に至るまでその呼称が定着しました。
その翌年に、これも都市伝説でよく話題になるUFO墜落事件「ロズウェル事件」が同じく米国で起こります。
実は米空軍は当時真面目(?)にUFO調査機関を設置しましたが、地球外生命による証拠はない、と結論づけました。
ところが、1950年代になると、UFOどころか宇宙人やそれによる被害報告例が続発し、米国では社会的な話題を引っ張ります。
何故か1つの事件を皮切りに急増するのが科学的に怪しさいっぱいですが、そこはあえて突っ込まないでおきます。
あまりに社会的な話題を呼んだので、当時の著名な物理学者の一人「エンリコ・フェルミ」さんまで口を開き、今でも名言として引用されます。
「彼らはどこにいるんだい?」
補足はいらないかもしれませんが、これだけ存在が騒がれているのに証拠が皆無であることの乖離を鋭く指摘したもので、今でも「フェルミのパラドックス」と呼ばれます。
UFO騒動が続く中、1960年代にはフランク・ドレイクさんが本格的に地球外生命体の調査を始めます。
いわゆる「SETI(地球外生命体探索)」プロジェクトです。
科学者による本格的な調査が始まったことで関心は高まります。
そして1967年に、天文学者ジョスリン・ベルさんが、下記の信号を受信して話題を呼びます。
当時の科学的知識では説明がつかない超短周期のパルス状電波源を捕捉し、代表的な宇宙人目撃が緑の小人であったことから、「LGM(Little Green Man)-1」と名付けられました。
これは俗称でなく公式な名称です。(現在は名称変更)
後になってこれは「パルサー」と呼ばれる超高密度(ブラックホールに近いもの)で超高速に回転する天体であることが分かります。
世の中としてはガッカリしたかもしれませんが、電波天文学の世界では新しい分野を拓くことになります。
実際このパルサー発見論文は高く評価され、ベルさんの指導教官ヒューイッシュさんはこの功績でノーベル物理学賞を受賞します。
(なぜか初めに発見したベルさんは受賞を逃し、物議を醸しています)
ただし、ベルさんは後世にその功績が認められて、ノーベル賞の2倍の賞金額を与えられる「基礎物理学ブレイクスルー賞」を2018年に受賞しました。
今でもパルサー(マグネタ―など派生的な天体も発見)の研究は続き、それを元にして、一般相対性理論の検証や重力波の検知などにも使われています。
このように話をまとめると、あながち似非科学トピックも科学に貢献すると思われがちですが、個人的には単に誤解を与えるだけなので、出来る限り科学的な確からしさは常に持っておきたいと思います。
最後に、日本もこの騒動のとばっちりは受けているようで、「NO」との回答です。なんとなく写真が迷惑そうなカオに見えるのは私でしょうか?