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地球の生命史は他の星でも起こったかもしれない
前回まで、生命の起源と初期生物に至る仮説について紹介しました。
ようは、
アルカリ熱水噴出孔でエネルギー勾配によって原始生命が誕生し、その後に2つのエネルギー革命によって3つの生物種(ドメイン)となった、
というはなしです。
前提として、「地球の」深海が舞台でした。
が、同じような化学反応は他の惑星でおこったかもしれない、という記事が投稿されています。
<元論文>
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2023JE008202
前回までに「アルカリ」熱水噴出孔とそれ以外(火山由来)について触れませんでしたが、良い湯加減であるのが1つのポイントです。(60-90℃。それ以外は数百度)
では、他の惑星では同じ環境が存在しないのでしょうか?
まさにその課題設定で、重力、熱、岩石の特性、流体循環の深さなどをパラメタを設定してコンピュータシミュレーションをおこなったところ、幅広い条件で同様の熱水噴出孔が存在可能という結論を得ました。
![](https://assets.st-note.com/img/1719267617139-4PBDoYYDhg.png?width=1200)
ターゲットにおいたのは、木星の衛星「エウロパ」と土星の衛星「エンケラドゥス」です。
これらは過去にもその可能性がリモート観測から期待されていました。関連投稿と記事を載せておきます。
ただ、上記で触れたとおり、火山由来の熱水噴出孔だと高温すぎて生命維持はほぼ不可能と思われていました。それが今回のシミュレーションで地球同様の丁度良い湯加減の場所も示されました。
しかも、重力が非常に低いエンケラドゥスの海底においては、この温度が「数百万年から数十億年にわたって継続できる」という結果が示されたとのことです。
前回までふれたとおり、地球では少なくとも第二次エネルギー革命による真核細菌誕生まで20億年超の月日が必要でした。
それだけ時間も必要ということで、これでますます初期生命が誕生する可能性が高まってきました。
エンケラドゥスは過去データの解析から、エネルギー生成に必要なリン酸が大量に見つかったことが近年話題になっています。
一方でエウロパも、2024年に新しい探査機が打ち上げられました。
そして「エウロパクリッパー」と呼ばれる探査機もさらに今年打ち上げ予定です。
現地調査でさらに生命存在可能性がより詳細にクリアになると思います。
地球の生命誕生史をたどると、地球でなければいけない特殊事情は今回の発表でどうもなさそうです。
ぜひ続報を待ちたいと思います☺