GPUが支える史上最大の宇宙シミュレーション:日本企業の隠れた貢献
以前に、スパコン最新ランキングについて触れました。
今回1位となったエルキャピタンが登場するまで、エクサスケールに初めて到達したスパコンは2位のFrontierでした。
前者は安全保障用途ですが、Frontierは純粋な科学研究にも使われています。
特に注目しているのが、Frontier(と上記で3位となったAurora)を使った史上最大規模の宇宙シミュレーション計画です。
名前もエクサスケールを意識した「ExaSky」プロジェクト。下記が公式サイトです。
宇宙形成から星・銀河の形成を従来よりもさらに細かい粒度で再現しようとしています。
目的はいわずもがな、今の物理学(特に素粒子の標準模型)では解明されていない下記の課題を解くためです。
・我々が知る原子の5倍以上の質量を占めるダークマター(暗黒物質)
・ダークマターの倍以上のエネルギー比率を占めるダークエネルギー
・ニュートリノの質量問題
まだまだ道半ばですが、公開されたシミュレーション映像を載せておきます。徐々に巨大な銀河団が形成していく流れで、まだ全体の0.001%だそう。
今の宇宙研究において、コンピュータシミュレーションは必要不可欠な存在です。過去の関連記事を載せておきます。
ExaSky公式サイトを読んで気づいたのですが、これらスパコンは従来はCPUベースだったのですが、今はGPUも併用しているとのことです。
もっと言えば、NVIDIA製のGPUを使っており、スパコンにも既にGPUが組み合わさったハイブリッドアーキテクトになっているみたいです。
NVIDIAといえば、11月中旬にイベントが日本で行われ、ジャンCEO自らが来日して基調講演を行っています。今でも下記で閲覧できます。
視聴して知ったのですが、GPUは元々ゲーム用に開発され、初期はSEGA(現セガサミーHD)が重要な顧客だったとのことです。
そして今の大躍進に連なる重要な出来事として、AI(ディープラーニング)の汎用的な計算用途に開発されたソフトウェア環境(通称CUDA)でも、初期のユーザは日本だったとのこと。そしてイベント後半には、一時期最大株主(今は売却)だったSoftbank の孫正義氏も登壇して未来について楽しく語っていました。
ということで変な流れとなりましたが、今の宇宙科学で必要な道具は日本の企業も見えないところで支えていたという話でした☺