タイムトラベルと浦島太郎
科学メディアNatureに、いつもと違うミニ小説が掲載されています。
ようは、
歴史を守ろうとして破ってしまった8つの法律、
をストーリーで届けています。
タイムトラベルネタでは鉄板ともいえる「歴史の改変」。
個人的によく覚えているのはこちらの映画シリーズです。
ネタバレはしないようにしますが、主人公が過去にタイムスリップして不可抗力で父と母の出会いを妨げ、自分が生まれなくなるピンチを克服する物語です。
気になるのはどういう原理で時間をコントロールしているのか、です。
もちろんフィクションであることは重々承知してるので野暮なことはいいませんが、オリジナルではプルトニウム(途中で落雷で代行)を使って激しい電磁波を出力することで時空間に歪みを生じさせているように見えます。
タイムマシン装置「デロリアン」について調べたサイトを見つけたので紹介します。
冒頭のミニストーリーも、良いことをしようと思ったらそれが法律を破ってしまう、やや同情をそそる例を示しています。(あくまでフィクション)
では、日本で同類のストーリーは?、と想像すると、「浦島太郎」が真っ先に思いつきます。
カメを助けて竜宮城に行って戻ってきたらはるか未来になっていた、というあまりにも有名な話です。
大体江戸時代あたりに創作された説が有力ですが、地上と離れた極限の場所(海の底の竜宮城)で時間の進め方が変わる、というのはとても示唆に富みます。
実際に、このおとぎ話からとった「ウラシマ効果」という言葉もあります。
相対速度が速くなるほど「各自が持つ」時間の進み方が変わる、というものです。
「各自が持つ」という言葉が奇妙に聞こえますが、これは特殊相対性理論でいう「光速度不変の原理」に基づきます。
超ざっくりいえば、ある人(A)から見た別の人(B)が動いていると、日常的には、
速さ=距離(あくまでAから見た見かけ上のもの)÷時間
で計測します。
が、上記の原理は「光の速さは常に一定」と言っており、ということは距離と時間が変動する、ということです。
上記は「特殊相対性理論」と呼び、それを拡張して、重力が強くなるほど時空の歪みが強くなることを数学的に表現したのが「一般相対性理論」です。(これ以上は割愛)
嘘のような話ですが、今時点においてもこの理論は観測する限り正しさが検証され続けています。
竜宮城が海の底だとすると、地上より中心部に近い、つまり重力の影響を受ける可能性が高いため、時間の進め方が変わるというわけです。
わざわざ遠い海の底まで行かなくても、時間を測る精度が高まってきたので、日常でみかける構造物でもその違いが分かります。
こちらは以前に紹介した「光格子時計」のことを指し、今後新しい標準化が期待されています。
上記に触れている通り、スカイツリーの頂上と地上で1日に約10億分の4秒(4ナノ秒)の違いを計測することに成功します。
果たして今後、リアルデロリアンが誕生するのか?
そうなると、冒頭の小説が現実味を帯びて別の楽しみ方(または恐怖?)が生まれるかもしれません。