H3ロケット、ついに実運用へ。初の積荷とその性能は?
7月1日に、H3ロケット3号機の打ち上げが行われ、無事に成功しました。
今までの2回はあくまでテストで、今回が本当の意味での本番となります。
もう少し言えば、ロケットはあくまで「輸送機」なので、荷物を無事運ぶことが目的です。
その初の荷物となったのは、地球観測衛星「だいち4号」です。公式サイトからその特徴を紹介します。
名前の通り、先代機があり、上記サイトよりその歴史を載せておきます。
地球観測衛星には、大きく2パターンあり、「光学」「SAR(合成開口レーザー)」です。今回は後者に属します。
その利点は、夜間でも天候不順でもレーダーが対象の地形を反射して観測することができるため、リアルタイム性が求められる観測に適しています。
ということで、まず期待されているのが「災害対策」です。
今回は、従来型よりもより広い範囲を観測することができます。
これは、多方向のレーダーを高速かつ並列に受信処理できるDBF(デジタルビームフォーミング)という分野の技術革新が支えています。
衛星はこれ以外にも表面には見えない隠れた凄い技術が詰まっています。(著者もこの分野に関わっていました☺)
例えば、2024年元旦に起こった能登半島地震も、だいち4号を使えば、1回の観測である程度の地域を観測できます。
今回は、国のプロジェクトとして三菱重工業がメインで開発に関わっています。H3ロケットも今回初めて民間が企画からかかわった初のケースです。過去の関連投稿を載せておきます。
ただ、民間でもこのSAR衛星を開発している日本企業は2社(QPS研究所、Synspective)あり、今回の地震でそれぞれ画像提供を行っています。
だいち4号は、陸地だけでなく海の災害も助けてくれます。
海洋では、大型船は自身の場所を発信するAISというルールがあります。ただ、これが港湾付近など多くの船が出入りするエリアでは混線に近い現象が起こってしまいます。
それをだいち4号は、混雑していても正確に受信して地上局に送る新機能を搭載しています。
空はいわずもがな陸海を縦横無尽に活躍するだいち4号、それを運んだH3のこれからの更なる活躍を期待しています。
そしてもう1つ、これによって今年度50回目のフライトで幕を閉じるHⅡAという名ロケットについても、ぜひ最後にスポットライトを当ててほしいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?