深層学習(Deep Learning)と人工生命の接点
今のAI(人工知能)は第3次ブームと言われ、けん引役がニューラルネットワークの学習を深くした「深層学習(Deep Learning)」です。
画期的なのは、従来人が担っていたパラメータ調整をマシンが自動的に調整してくれるところです。
意味合いで言えば、学習対象の特徴をマシンが見分ける、というイメージです。
そんな中、下記の記事をみつけ、その深層学習にも新しい流れがあることを知りました。
ようは、
深層学習の最適な構造を探索するのに、遺伝的アルゴリズムも有効かもしれない、
という話です。
記事タイトルにある人工生命は、生命科学かAIの文脈かによってやや伝え方が変わってきます。前者だと過去にも触れたので引用にとどめておきます。
今回は後者で、特に「遺伝的アルゴリズム」が話題になるケースが多いです。
超ざっくりいうと、ゲノム(遺伝子情報の総称)をデータと見立て、それらを偶発的に変化(突然変異)したものを掛け合わせる(交配)ことで最適解を探る、という流れです。
残るべきものが残る(淘汰)、という生命の経験則を応用したものです。
今回は、上記の「ゲノム」が「ニューラルネットワークの1つの構造」にあたり、様々な構造を微修正させて掛け合わせる、ことに当てはまります。
検証結果としては「有効そうである」となってますが、悩ましいのが「なぜ?」という箇所です。
そもそも深層学習も、画像コンテストで圧勝したり囲碁チャンピョンに勝利してその真価が認められました。
が、なぜすごいのかを原理的にはまだ個人的に腹落ち出来てないです。。。(これは単に自分の力不足だと思います)
今回の記事を見る限りは、若干近い印象を受けましたが、興味深かったのが、最後に筆者が期待している「量子構造探索(QAS:Quantum Architecture Search)」という用語です。
以前に、2022年度のブレークスルー賞で「量子情報科学」のパイオニアが表彰され、その一人Shorのアルゴリズムは、量子アルゴリズムの1つとして有名です。
今回も遺伝的アルゴリズムとの類似点を挙げてますが、まだこのあたりは難解で、恥ずかしながらついていけてないです。
ただ少なくとも言えるのは、量子という元々物理現象の解明が、発展につれてバーチャルな情報科学や生命現象の世界に進出しっているのだけは何となく感じます。
より従来の学問分野を横断した理解が求められてくるので、これからの研究者は大変だなぁと思います。
見方によっては、これからの研究者には開拓地が広がっていると好意的にとらえることもできます。
量子力学のきっかけになったのは教科書的にはマックス・プランクです。
ニールス・ボーアはそれを解釈した離散的な原子モデルと優秀な方々を巻き込んだ貢献者として有名です。
そのプランクが若手のころ、指導教官に「もう物理学は終わった学問だから他のことをやったほうがいい」と言われたそうです。(真偽は定かではないですが)
他の学問分野でも、結構近いことがあり、いずれも振り返ると頂上でなく踊場だったことが分かります。(AIも過去2回ほど、踊り場どころか見捨てられた冬の時代がありました)
私も他人事で終わらずに、自分が分かったことを少しでも分かりやすく発信し続けて、最前線の研究者を応援していきたいと思います。