宇宙開発とイノベーション
丁度今、韓国の大統領が訪米しており、その中でNASAに訪問して共同声明を行っています。
自国での宇宙機関設立推進やアルテミス計画本格参加の声明など、韓国の宇宙参入を強くアピールしていました。
外交上のリップサービスとは言い切れず、2022年末には「宇宙経済ロードマップ」を発表しています。
そこでは、2045年までに火星に宇宙船を着陸させる計画や月への到達が可能なロケットを5年以内に開発し、2032年に資源採掘を実施する計画などが盛り込まれています。
今は、米国をはじめとして民間の活力、ビジネス風に言えば「イノベーション」を期待する風潮があるかなと思います。
日本の基幹ロケットH3も、コストパフォーマンスを上げるために企画段階から民間を巻き込んでいます。
実際過去の宇宙開発でも、地球上での商品につながったケースはあります。
分かりやすいのがアポロ計画です。
月面着陸には技術的な課題が山積でしたが、それを克服するために基礎研究が進められ、結果として下記の製品などが発明されたといわれています。(勿論100%宇宙開発だけではないと思いますが)
ダストバスター(コードレスクリーナー)、MRI、CT スキャン、住宅用断熱材、衝撃吸収スニーカー、耐火消防服、真空パック食品
NASAは今でもSpaceXを始め民間委託は進めてますが、アイデアを学生から募って育てる、という活動も行っています。
比較的大規模で有名なものが大学生向けMITTICです。
現地時間4月28日にそのピッチコンテストが配信されますので、興味のある方は上記サイトよりアクセスしてみてください。
また、小学生向けにも同様のコンテストがあり、最近その勝者を公式サイトで紹介しています。(タイトル画像も下記サイトより引用)
これはNASAだけでなく、日本のJAXAでも、民間のアイデアを商業化するコンテストはいくつか開催しています。
そのうち、優勝賞金1000万円で最も高額なのがS-Boosterで、丁度今募集が始まったところです。
2022年度の最優秀作品は、「ハイブリッドエンジンの実用化」でした。
液体燃料ロケットは、その加工が難しいので、量産化するためのアイデアです。
上記含めたアイデアの骨子は下記サイトで公開されています。
勿論お金を出すだけでなく、Finalistまで残ったら経験のあるメンターが指導してくれたり、人的なコネクションも広がるようです。
むしろそちらのほうが価値があるかもしれませんね。なによりも、宇宙の面白いところでもあり難しいところは、ほとんどのケースが未経験で地球の常識が足かせになることもあります。
ですので、いかに多様な方々(特に既にチャレンジした方)と対話を重ねてブラッシュアップしていくことが、イノベーションの種につながりやすいのだろうと思います。
今回は話が科学よりは産業寄りになりましたが、それだけ両者のベン図は重なりつつあります。
まずは直近に迫ったNASAとJAXAのビジネスコンテストでどんな未来の種が発芽するかを楽しみにしたいと思います。