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宇宙の元祖コンステレーションと宇宙食コンテスト

宇宙の言葉でコンステレーションと聞くと、人工衛星を低軌道で多数打ち上げて広範囲にカバーする仕組みが有名です。
代表例はStarlinkで、投稿時点で既に4千機を軽く超えています。

実は、宇宙開発ではそれより前に「コンステレーション計画」と呼ばれる壮大なものがありました。

初期のころからいくつかそぎ落とされたのが、今の「アルテミス計画」につながっています。
簡単にその歴史は下記でも触れたので紹介しておきます。

上記記事内にあるとおり、2004年に時の大統領が新たな宇宙開発計画として打ち出したのが「コンステレーション計画」です。
若干ひねくれた言い方をすると、スペースシャトル引退でのマイナスイメージをカバーするためにより野心的な構想を打ちあげた、と見えます。

当初は結構てんこ盛りな企画でしたが、歴代の大統領を経るに従い雲行きが悪くなり、内容の削減だけでなくついに2010年に中止となりました。
このあたりは政治的判断があるので、なかなか科学技術だけで評価するのは難しいところです。

但し、当初企画したものが独立して残っているものあり、その1つが「宇宙食チャレンジ」コンテストです。(タイトル画像もここから引用)

公式のYoutubeチャンネルが分かりやすいので紹介しておきます。

ようは、
都度食糧を地上から運ぶのは大変なので、現地食糧生産システムを目指したい、
ということです。以前にも宇宙食2.0と表現しました。

この「Deep Space Foord Challenge」というコンテスト、粛々と審査が進んでいたのですが、つい先日にセミファイナリスト(フェイズ3)が決まりました。下記に並べておきます。

  • ニューヨーク州のAir Company :空気、水、電気、酵母を食品に変えるシステムとプロセス

  • フロリダ州のインターステラーLab:新鮮なマイクログリーン、野菜、キノコ、昆虫を生産するためのモジュール式生物再生システム

  • フロリダ州ケープカナベラルのカーネル デルテック USA:キノコベースの食材を栽培するシステム

  • カリフォルニア州リバーサイドのNolux 」自然界で行われる光合成を模倣して植物およびキノコベースの成分を生成するソリューション

  • コロラド州ボルダーのSATED (Safe Appliance, Tidy, Efficient, and Delicious) :宇宙飛行士が賞味期限の長い食材を使ってさまざまな食事を調理できる宇宙調理器具を開発

上記チームには15万ドルが贈られ、これから1年間のPoCを経てさらに選抜されていきます。

しかも、これらのチームの補助材料として、別の関連コンテストで選ばれた下記チームの研究成果も活用出来ます。

  • オーストラリア メルボルンのエニグマ・オブ・ザ・コスモス:植物の自然な成長サイクルの効率を高める適応成長システム

  • スウェーデン ヨーテボリのMycorena :微細藻類と菌類を組み合わせてマイクロタンパク質を生産するシステム

  • フィンランド ラッペーンランタのSolar Foods:ガス発酵を使用して単細胞タンパク質を生産するシステム

これは宇宙食どころか、地上での食糧生産にも貢献出来そうです。
宇宙の研究成果が地上に応用されるのはよくありますが、宇宙食の分野でも同じようなことが起こりそうです。

1年後の優勝チームの成果を今から楽しみにしています。

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