日本に作られるかもしれない世界最大の粒子加速器
前回、素粒子の標準模型で残された謎を解くべく、次世代粒子加速器建設の新しい壁について触れました。
次世代候補として米国のC3を例示しましたが、実は日本でも次世代粒子加速器の構想は始まっており、今日はそれを紹介します。
ちなみに、規模の大きさを測るときに衝突により発生可能な最大エネルギーで測ります。世界最大のCERNでは(実験によりますが)数〰数十TeV(テラエレクトロンボルト)です。eVとは、電子を加速させる単位だと思ってください。(日常生活には影響ありません☺)
日本では、Super KEKと呼ばれる実験施設が最大で、数千GeV(ギガエレクトロンボルト)です。
運営する組織(KEK)は、今回の発端となった標準模型の綻びを追検証する予定です。
その他の国内加速器一覧については、下記に載っています。
で、肝心の次世代についてですが、ILC(国際リニアコライダー)と呼ばれる計画です。公式サイトが出来ているので貼っておきます。
上記内にも張られている公式Youtubeサイトがアニメーションで分かり易く説明しているので引用します。
名称のとおり、CERNの円形でなくリニア(線形)です。
国際と頭文字にある通り、まだ日本に確定したわけでなく1つの候補地です。
ただ、仮に日本になった時の場所は確定していて下記の場所です。
2023年9月末に、ILCに関する国際会議がこの場所で開かれました。実はそこでも、前回触れた第二の壁「環境負荷」が話題に上がっています。
ILCの目的は、前回触れたヒッグス粒子をさらに解剖することですが、他にも「ダークマター」の解明にも貢献します。
「ダークマター」とは、宇宙にある物質(またはエネルギー)の3割程度を占める未発見の存在です。
なんで素粒子なのに宇宙が関係あるのか?と思うかもしれません。
が、実は宇宙と素粒子という超マクロとミクロは既に密連携しています。
ダークマターの候補として、20世紀後半までは「未知の天体(ブラックホール含む)」でしたが、今では観測能力も高まっても見つからず可能性は低いと考えられています。
今は、未知の素粒子説(1つ1つは小さいけど塵も積もれば山となる)で、それをこの加速器で見つけようということです。
公式サイトでも、その素粒子候補「ニュートラリーノ」について紹介しています。
この素粒子は、前回触れた「超対称性理論」が予言するものです。
超対称性理論についてはまたどこかで触れたいと思いますが、日本でその歴史的発見が行われる可能性もあります。
純粋な科学技術や環境対応だけでなく、お金も政治も絡む話なので、ぜひ何か支援できる小さなこと(寄付とか)をみつけたら、ぜひぜひご協力をお願いします。